2002 Fiscal Year Annual Research Report
亜臨界水に対する脂質の溶解度と新規食品加工技術の創造
Project/Area Number |
13876034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松野 隆一 京都大学, 農学研究科, 教授 (30032931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 元啓 京都大学, 農学研究科, 助手 (60293916)
安達 修二 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90115783)
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Keywords | 亜臨界水 / 脂質 / 溶解度 / 加水分解 / 加圧熱水 |
Research Abstract |
前年度に作成した溶解度測定装置を用いた5または15MPaにおける60〜230℃での各種飽和脂肪酸の溶解度について引き続き検討し,160℃以上における溶解度は正則溶液として解釈できること,およびそれ以下の温度では脂肪酸が水に溶解する際に水分子が氷様構造を形成するため,負のエンタルピーが正の溶解エントロピーを補償して高い溶解度となることを示した.また,高温において水に溶解した飽和脂肪酸を親水性乳化剤溶液と合流して急冷することにより,比較的分散が狭く,かつ粒径の小さいO/W型エマルションが調製できる可能性が示唆された.さらに,回分式反応装置を用いて,アシル鎖長の異なる脂肪酸メチルエステルおよびアルキル鎖長の異なるラウリン酸エステルの亜臨界水による加水分解反応について検討し,アシルおよびアルキル鎖長が長いエステルほど立体障害により加水分解速度が低下することを見出した.また,いずれのエステルの加水分解過程も1次反応式で表現でき,速度定数の温度依存性から見掛けの活性化エネルギーと頻度因子を決定した.さらに,各エステルの加水分解反応に対する見掛けの活性化エネルギーと頻度因子の対数の間に線形な関係があり,亜臨界水による脂肪酸エステルの加水分解過程に対してエンタルピー・エントロピー補償効果が成立することを見出した.これは脂肪酸エステルのアシルまたはアルキル鎖長によって加水分解の速度定数は異なるが,本反応は本質的には同一の機構で進行することを示唆する.
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Research Products
(1 results)