Research Abstract |
本研究は,農村地帯における農業排水の再利用や廃堰の水質改善,河川への負荷軽減を目的として,青森県特産であるが貝殻の処理に困っているホタテ貝殻を用いた水質浄化の可能性と実用化について検討するものである。 初年度は,津軽平野にある排水路,廃堰(旧農業水路),農業用溜池での水質調査を行ない,現状の水質状況を把握した。その結果,市街地の生活雑排水が流入する廃堰や排水路では水質の悪化が進行し,有機物質や栄養塩類の濃度が極めて高く,改善の必要性があることを確認した。 水質浄化の基礎実験として,ホタテ貝を接触ろ材に用いた場合の浄化効果に関する実験を行った。実験に使用した水は実験当日,市街地の生活雑排水が流入する排水路から採水したものである。水槽内(容量65l,ホタテ貝約150枚設置)での実験では,平均して5時間後COD:30%,T-N:19%,T-P:20%,41時間後ではCOD:46%,T-N:33%,T-P:58%の高い浄化率を示した。一方,小型水路(長さ6m,ホタテ貝約1,100枚設置)での実験では,浄化率が5時間後COD:15%,T-N:6%,T-P:12%,41時間後ではCOD:30%,T-N:9%,T-P:26%となり,水槽内実験と比較して,その効果が少なかった。 さらに,現地排水路にホタテ貝を入れた籠を設置して実験した場合,土砂やごみの影響で浄化効果が得られなかった。次年度はさらに基礎実験と現場での実験を行い,その効果と浄化のメカニズムを解明したい。
|