2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック蛋白質HSP60の胃MALTリンパ腫発生への関与
Project/Area Number |
13877026
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 忠厚 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20136386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 憲治 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00243460)
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Keywords | MALTリンパ腫 / ヘリコバクター・ピロリ菌 / 熱ショックタンパク質(HSP)60 / サイトカイン / 免疫応答 |
Research Abstract |
1.HSP60に対するヒト免疫系の反応性、とくにMALTリンパ腫患者リンパ球の反応性 MALTリンパ腫患者では、HSP60に対する自己抗体ができることを報告しているが,この機序を解明するために、MALTリンパ腫患者リンパ球をGM-CSFとIL-4存在下にHSP60で刺激し,リンパ球の反応性を調べた。抗原刺激により,MALTリンパ腫患者のリンパ球はIL-4を産生するが、健常者や胃炎患者のリンパ球はIFN-γを多く産生した。またB細胞の抗原刺激に際してco-stimulatory signalとして働くCD4T細胞のCD40リガンド(CD40L)の発現が、MALTリンパ腫患者では増強した。H.pylori菌全体を使った抗原刺激では,胃炎患者とMALTリンパ腫患者でCD40Lの発現に差は認められなかった。これらの結果より、MALTリンパ腫患者ではHSP60に対するTh-2の液性免疫反応が強く誘導され、B細胞の増殖が起こることが判明した。 2.HSP-60の末梢血並びにリンパ組織単核細胞における発現 HSP60は末梢血中ではTリンパ球の一部と単球の大部分に発現し、マイトゲンで刺激すると,T.B.NK細胞における発現率と発現量が著しく増強した。反応性リンパ組織では、芽中心及び濾胞間のマクロファージとリンパ芽球の胞体内に発現していた。 3.感染動物実験による宿主因子の解析 マウスの系統によって、H.pylori感染後に発症する胃炎の程度が異なることが知られている。あらかじめ感染させたマウスに大腸菌のリコンビナント易熱性毒素をアジュバントとして、rHSP60を鼻腔より免疫した。Th-1優位なC57BL/6でもTh-2優位なBALB/Cマウスでも、HSP60を用いた局所免疫により、感染早期から胃炎が高率に発症することを認めた。またT細胞を活性化しやすいアミノ酸配列を含んだ領域を部分発現させたHSP60を免疫すると,胃炎の発症が強く誘導された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山崎理恵: "H.pylori-HSP抗原刺激によるCD40ligand発現及びサイトカイン産出"日本病理学会会誌. 90・1. 350 (2001)
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[Publications] Jin HA: "Expression of heat shock protein 60 in human normal and neoplastic lymphoid tissues"Journal of clinical and Experimental Hematopathology. 42・1. 25-32 (2001)
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[Publications] 横田憲治: "H.pylori感染と胃粘膜免疫応答"日本臨床. 59・2. 342-348 (2001)