2002 Fiscal Year Annual Research Report
フリーラジカルによるヘリコバクターピロリ遺伝子の変異促進作用に関する研究
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13877043
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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Keywords | ヘリコバクターピロリ遺伝子 / 一酸化窒素 / 薬剤耐性 / 8-ニトログアノシン / パーオキシナイトライト / 活性酸化窒素 / 塩基損傷 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
近年、消化管、肝・胆道系などの固型がんの半数以上の例で、慢性感染・炎症が、がん発症の主要な要因になることが指摘されている。多くのがんにおいて、誘導型酸化窒素(NO)合成酵素(iNOS)の発現が上昇しており、活性酵素、NOやプロスタノイドなどの炎症性分子が、細胞の分化・増殖の異常や遺伝子損傷をもたらし、がん発生のメカニズムにおいて重要な役割を演じることが示唆されている。一方我々はこれまで、各種ウイルス・細菌感染モデルを用いて、NOが生体の感染防御反応における主要な炎症性メディエーターとして機能していることを報告してきた。NOは、パーオキシナイトライトなどの活性醇化窒素種の生成を介して病原体遺伝子を損傷し、生体内で強力な変異原性を発揮することが予測されている。そこで今回、感染・炎症に伴って生ずるNO・フリーラジカルによる新たな損傷塩基の検索した。そもそもパーオキシナイトライトは、核酸塩基のうち特にグアノシンの8位を効率良くニトロ化し、8-ニトログアノシンを生成することが知られていたが、これまで、この損傷塩基が生体内で生じることを証明した報告はなかった。具体的には、まず8-ニトログアノシンの大量有機合成法を確立し、これを抗原エピトープとして特異的抗8-ニトログアノシン抗体を作製した。さらに、この抗体を用いて、各種感染・炎症モデルにおける8-ニトログアノシン生成を、免疫組織化学的に解析したところ、8-ニトログアノシンが、生体内のNO生成に依存して生成することが証明された。さらに、8-ニトログアノシンが、電子吸引基であるニトロ基を有するニトロアレンという構造を有していることに着目し解析を進めたところ、本化合物が強力なレッドクス活性を示し、生体内の還元システムにより活性化され大量の活性酸素(スーパーオキサイド)産生することが分かってきた。すなわち、8-ニトログアノシンは、NOに由来する単なる損傷塩基ではなく、高い化学的反応性をもつ生理活性分子であるといえる。実際、予備的検討ではあるが、パーオキシナイトライトがヘリコバクターピロリ遺伝子の変異を促進し、クラリスロマイシンに対する耐性頻度を高めることを確認している。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Akaike, T. et al.: "8-Nitroguanosine formation in viral pneumonia and its implication for pathogenesis"Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.. 100. 685-690 (2003)
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[Publications] Fang, J. et al.: "In vivo antitumor activity of pegylated zinc protoporphyrin based on targeted inhibition of heme oxygenase-1 in solid tumor"Cancer Res.. (in press). (2003)
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[Publications] Tanaka, S. et al.: "Antiapoptotic effect of haem oxygenase-1 induced by nitric oxide in experimental solid tumour"Br.J.Cancer. (in press). (2003)
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[Publications] Alam, M.S.et al.: "Host defense role of nitric oxide in murine salmonellosis as a function of its antibacterial and antiapoptotic activities"Infect.Immun.. 70. 3130-3142 (2002)
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[Publications] Okamoto, T. et al.: "S-Nitrosothiols inhibit cytokine-mediated induction of MMP-9 in airway epithelial cells"Am.J.Respir. Cell Mol.Biol.. 27. 463-473 (2002)
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[Publications] Wu, J.et al.: "Identification of bradykinin receptors in clinical cancer specimens and murine tumor tissues"International J.Cancer. 98. 29-35 (2002)
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[Publications] Fang, J. et al.: "Tumor-targeted delivery of PEG-conjugated D-amino acid oxidase for antitumor therapy via enzymatic generation of hydrogen peroxide"Cancer Res.. 62. 3138-3143 (2002)
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[Publications] Sahoo, S.K.et al.: "Pegylated zinc protoporphyrin : a water-soluble heme oxygenase inhibitor with tumor-targeting capacity"Bioconjugate Chem.. 13. 1031-1038 (2002)
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[Publications] 赤池孝章: "感染症の病態を操る分子:NO-感染症におけるNOの役割"医学のあゆみ. 204(9). 702-706 (2003)
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[Publications] 赤池孝章: "呼吸器疾患における酸化・ニトロ化ストレス"呼吸. 22(3)(印刷中). (2003)
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[Publications] 赤池孝章: "感染症とNO"麻酔. 50(増刊). S24-S30 (2002)
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[Publications] 赤池孝章: "フリーラジカルと呼吸器感染症"分子呼吸奇病. 6. 27-36 (2002)
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[Publications] 赤池孝章: "NOによる感染防御と病態形成のメカニズム. 柳 雄介, 植田浩次, 高月 清, 西村泰治 編. 感染症研究の新戦略-第25回阿蘇シンポジウム記録-"南山堂(東京). 97-105 (2002)