2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞壁の繊維過程における血管内皮細胞の役割について
Project/Area Number |
13877093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
川並 汪一 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (70096973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 正和 日本医科大学, 老人病研究所, 助手 (20312069)
金 恩京 日本医科大学, 老人病研究所, 助手 (10312068)
ガジザデ モハマッド 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (30190979)
江見 充 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (90221118)
太田 成男 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (00125832)
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Keywords | 肺損傷治癒 / 血管内皮細胞 / 肺線維症 / 血液凝固 / セリンプロテアーゼ / トロンビン / トロンボモジュリン / 膠原病性肺疾患 |
Research Abstract |
肺胞線維化の病態生理学的機序を解明するにあたり、研究の課題を血管系ひいては肺血管床における内皮細胞の異常と、血液凝固系の病理学的変動にあるとの仮定を設定した。その理由は膠原病(Collagen vascular disease)の一種である全身性強皮症(PSS)に合併する間質性肺炎はその形態が特発性間質性肺炎(IIP)にほぼ一致し、IIPの患者にも膠原病の血清学的変化を共有することが多いことが広く知られているためである。PSSにはしばしば肺血栓症や肺高血圧症などが合併するが、これには血管内皮細胞の病態が深く関与している。しかしながらこの疾患では内皮細胞傷害因子が不明である。そこで、血液凝固因子であるトロンビンやプラスミン(セリンプロテアーゼ)が内皮細胞との間で不調を来たすものと想定した。今年度は、肺胞毛細血管の内皮細胞に最もよく発現するトロンボモジュリンが、どのように消失するか、その際内皮細胞の活性にどのような変動をもたらすかについて原発性肺癌組織と培養内皮細胞、培養肺癌細胞株を用いて検索した。その結果、肺癌細胞が肺胞壁に浸潤するに連れ血管内皮細胞は抗凝固因子トロンボモジュリンを喪失することを把握した。一方、TMはトロンビンの受容体でありトロンビンはprotease-activated receptor(PAR)を限定分解してG-タンパクを活性化して細胞の増生を促す可能性を証明できた。とくに、PAR-2という受容体と、PAR-1が肺組織において最も重要な役割を果たし、vascular endothelial growth factor(VEGF)とは相乗的に内皮細胞を増生する可能性を示唆できた。その過程で、内皮細胞はその免疫組織学的な表現型をvon Willebrand factor優位に転換し、血管の超微形態がnon-fenestrated typeからfenestrated typeに転換する事実も把握できた。この結果は、肺胞壁という単純な組織内で血管が増生し形態を変動させる事実を証明した最初のデータである。また、この際肺胞線維化が進展する事実からこの血管変化が肺線維化現象に重要な役割を果たすものと推察できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujiwara M, Jin E, et al: "An in vitro model to evaluate regulatory mechanisms of antigen expression by normal pulmonary vessel endothelial cells"Microvasc Res.. 61・2. 215-219 (2001)
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[Publications] Jin E, Fujiwara M, Nagashima M, Shimizu H, Ghazizadeh M, et al: "Aerogenous spread of primary lung adenocarcinoma induces ultrastructural remodeling of the alveolar capillary endothelium"Human Pathology. 32・10. 1050-1058 (2001)
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[Publications] Jin E, Ghazizadeh M, Fujiwara M, Nagashima M, et al: "Angiogenesis and phenotypic alteration of alveolar capillary endothelium in areas of neoplastic cell spread in primary lung adenocarcinoma"Pathology International. 51・9. 691-700 (2001)
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[Publications] 川並汪一, 持丸 博, 新井 悟: "シリカの経気道投与による肺胞とその毛細血管のリモデリング"エアロゾル研究. 16・4. 285-288 (2001)
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[Publications] Yamano G, Funahashi H, Kawanami O, et al: "ABCA3 is a lamellar body membrane protein in human lung alveolar type II cells(1)"FEBS Lett.. 16・508. 221-225 (2001)
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[Publications] 金 恩京, 川並汪一: "気道と肺の微小血管内皮細胞"細胞. 33・4. 136-140 (2001)