2001 Fiscal Year Annual Research Report
不全心筋細胞内Ca過負荷に対するβ遮断薬の効果に関する研究
Project/Area Number |
13877107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松崎 益徳 山口大学, 医学部, 教授 (60116754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大草 知子 山口大学, 医学部, 助手 (00294629)
矢野 雅文 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (90294628)
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Keywords | 心不全 / 筋小胞体 / リアノジン受容体 / Ca放出能 |
Research Abstract |
(背景)我々は、心不全時には筋小胞体(SR)のCa^<2+>放出チャネルであるリアノジン受容体(RyR)から、その調節蛋白FKBP12.6が解離することにより、RyRから異常なCa^<2+>leakが生じ、収縮、拡張障害を惹起しうることを報告した(Yano, et al. Circulation 102:2131-2136,2000)。また心不全時にがKBP RyRから解離する機序として、最近Marxらにより、交感神経過緊張→β受容体の刺激過多→[cAMP依存性蛋白キナーゼ(PKA)による]RyRの過リン酸化という経路が明らかにされた。^<1)>このRyRからの異常なCa^<2+>leakを抑制すれば、心不全時の拡張期の細胞内Ca^<2+> overloadを防止し、収縮、拡張不全を改善することが予想される。 (目的)平成13年度我々は、虚血再灌流時のCa^<2+>過負荷を抑制するとされる新しい心保護薬のJTV519が上述のRyRからの異常なCa^<2+>leakを抑制するか?またその結果、心機能を改善し心不全発現を抑制するかについて検討した。 (方法および結果)ビーグル犬を用いて、4週間の高頻度右室ペーシング(250/分)により心不全モデルを作成する。ペーシング開始直後よりJTV519を4週間慢性投与し左室圧、左室内径を測定、薬剤非投与群と比較検討した。薬剤非投与群に比し、JTV519投与群では左室拡張期圧-内径関係の右方シフトを抑制し(左室リモデリング抑制)、左室圧最大dP/dtを増加(収縮性改善)、左室拡張期圧降下の時定数Tauを短縮させた(弛緩能改善)。さらに心筋筋小胞体からの異常なCa^<2+>leakをほぼ完全に抑制した。またFKBP12.6とRyRの結合比率(正常1:3.6,不全心1:1.1)は有意に増加した(1:3.6)。 (結語)新しい心筋保護薬JTV519はFKBP12.6-RyR連関障害を是正し、RyRからの異常なCa^<2+>leakを抑制することにより心不全の発現を著明に抑制した。このことからRyRのチャンネル安定化に基づくCa^<2+>leakの抑制は全く新しい心不全治療戦略となりうることが示された。平成14年度には、この知見をさらに発展させ、現在心不全治療に有効とされるアンジオテンシンII受容体拮抗薬にも同様のRyR安定化作用があるか?またJTV519とのcombination therapyの可能性についても検討する。
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Research Products
(1 results)