2002 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン-12受容体欠損症の遺伝子診断と免疫異常の病態解析
Project/Area Number |
13877119
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
駒田 美弘 三重大学, 医学部, 教授 (80186791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 正流 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (90167263)
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Keywords | インターロイキン-12 / STAT4 / インターフェロンγ / 非定型抗酸菌感染症 |
Research Abstract |
長期間にわたって全身型の非定型抗酸菌感染症の再燃をくり返し、インターロイキン(IL)-12受容体欠損症が疑われる症例(13才男児)において、STAT4の核内移行障害がその病態に関与していることを示した。 非定型抗酸菌に代表される細胞内寄生菌の免疫応答には、Th1リンパ球から分泌されるIFN-γが中心的な役割を果たしており、Th1経路の破綻により易感染性を示す。患児末梢血より分離した単核球をphytohemagglutinin(PHA)とIL-2で96時間刺激培養し、活性化T細胞を誘導した後、さらにIL-12で刺激すると、T細胞の増殖、およびインターフェロン(IFN)-γ産生能は正常コントロールに比べ著明に低下していた。さらに患児T細胞でのIL-12Rβ1鎖、β2鎖の発現は正常コントロールに比べ低下しているものの、塩基配列の検索からはIL-12Rβ1鎖、β2鎖遺伝子異常は見られず、またIL-12刺激によるSTAT4のリン酸化においても患児とコントロールとの間に差はなかった。しかし、ゲルシフト法と共焦点レーザー顕微鏡を用いたSTAT4の解析により、IL-12刺激におけるSTAT4の核内移行が患児T細胞において有意に低下していることが明らかになった。なおIFN-γ遺伝子のSTAT4結合部位とSTAT4遺伝子自体には塩基配列の異常は認められなかった。また、興味あることに、患児にIFN-γ補充療法を行うことにより臨床症状の著しい改善を認めた。以上の結果より、IL-12刺激にともなうSTAT4の核内移行障害が、本患児のT細胞の増殖及びIFN-γ産生能の低下に関与しており、非定型抗酸菌に対する易感染性をきたす病因であると考えられた。
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