Research Abstract |
表皮における遺伝子機能の補充,変異遺伝子の矯正など,遺伝子レベルの治療については,遺伝子の送達効率,導入した遺伝子の安定性,ベクターの免疫原性,発現効率の問題などにより,未だに理想的な表皮遺伝子治療用ベクター系は得られていない.しかし,vesicular stomatitisのエンベロープをウイルス表面にもつ組換えpseudotypeレンチウイルスベクターを用いればレンチウイルスベクターは,遺伝子が非分裂細胞のゲノムに組み込まれ,遺伝子導入後持続的に長期の遺伝子発現(6ケ月以上)が期待でき,表皮細胞にも感染させることが可能と考えられる.本研究は表皮遺伝子治療用ベクターとしてpseudotypeレンチウイルスを作成し,臨床的意義のある表皮遺伝子治療プロトコルを作成するための基本的データを提供することを目的としている.平成13年度は,HIV-1のプロウイルスゲノムをパッケージング,エンベロープ,ベクターの3つに分けてプラスミドを構築した.パッケージングプラスミドは,gag, pol, env以外に,修飾遺伝子であるvif, vpr, vpu, nefと制御遺伝子tat, revをもつようにデザインし,エンベロープにはVSV-G遺伝子を組換えて角化細胞にも感染可能にした.ベクターは,LTR,パッケージングシグナル,逆転写プライマー結合部位,マーカーとしてGFP遺伝子をもつように構築し,転写されたGFP mRNAはウイルス粒子内に取り込まれ,感染後,逆転写されて,角化細胞の染色体に組み込まれるようにデザインした.これらのプラスミドを293T細胞に導入し,感染細胞にGFPを発現するpseudotypeレンチウイルスベクターの作製に成功した.
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