2002 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン耐性誘導による外科侵襲反応の軽減―交感神経及び細胞内cAMPの関与
Project/Area Number |
13877181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 芳和 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10175614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比企 直樹 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30313026)
小川 利久 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80224111)
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Keywords | エンドトキシン・トレランス / 交感神経系 / β受容体 / 交叉耐性 / cAMP |
Research Abstract |
実験1 Endotoxin tolerance (ExT)誘導における交感神経系の関与(β受容体サブタイプの役割についての検討) ExTを誘導する際にβ-blockerを用いると耐性誘導が抑制されることがin vivoとin vitro studyで認められたことからβ受容体がExTの機序に関係することが示唆されたため,β受容体のどのサブタイプが関与しているかを,RAW264 cell lineを用いて調べた. 1,細胞にLPS 10ngを加えて24時間培養した(LPS前投与)後,LPS 100ngを暴露すると,対照群と比較してTNFα濃度は減少し,ExT誘導が獲得された. 2,LPS前投与時にβ1-blockerまたはβ2-blockerを加えて,Saline投与と比較したところ,各群間で有意差は認めなかった. つまり,今回の実験ではExTに関与するβ受容体サブタイプを同定することは出来なかったが,阻害剤の種類の問題もあり,ノックアウトマウスを用いた研究など更なる詳細な実験が必要であると思われた. 実験2 ExT誘導における細胞内cAMPの関与 ExT誘導には細胞内シグナル伝達経路が密接に関係していると言われているが,細胞内cAMPとの関係についての報告は少ないため,ExT誘導時に細胞内cAMP濃度を変化させることにより,誘導の程度が変化するかどうかを調べた. 1,RAW264 cellにLPS 10ngを加えて24時間培養し,その際にcAMP phosphodiesterase阻害剤であるRolipramを同時に加えることにより,cAMP濃度を上昇させたところ,培養液上清中のTNFα濃度は対照群と比較して有意に低下した. 2,引き続きその細胞にLPS 100ngを暴露すると,3,6,24時間後のTNFα濃度はRolipram投与群にて有意に上昇した.つまりExT誘導が抑制されたことを示唆する. 以上からExT誘導にcAMPが関与していることが示された.
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