2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877191
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 龍夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40095633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 寿夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90214006)
山田 健人 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60230463)
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Keywords | 骨髄由来間葉系幹細胞 / ラット / 瘢痕 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
皮膚全層切開創の創傷治癒はおもに創収縮と上皮化からなる。創収縮は肉芽組織の収縮によるものである。皮膚潰瘍、熱傷などの難治性潰瘍においては、この肉芽組織形成が遅延しており、肉芽形成が治療の鍵となる。本研究の目的は創に骨髄由来間葉系細胞を移植することにより肉芽形成を促進させ、また移植細胞の肉芽組織内における動態を明らかにすることによりその機序を解明することであった。Fisher系ラットを使用する予定であったが、骨髄由来間葉系細胞が簡単に培養でき、また近交系であるF344ラットを使用した。またGFPを遺伝子導入することによる細胞の変化をなくするため、細胞はDiIで標識した。ラット背部皮膚に創あたり1x10^5または1x10^6個の細胞を移植し直後に1cmの皮膚全層切開層を作成し、2週間後に瘢痕の状態を検討した。コントロールにはphosphate buffered salineを使用した。細胞を高濃度で移植した群では、コントロール、低濃度群に比べ、創傷治癒が早く進行し、また組織学的に瘢痕の度合いは軽微で、ほぼ正常に近い皮膚が再生した。血管新生には特に影響はなかった。また使用した細胞は、適当な培地のもとで骨格筋、脂肪、軟骨に分化することが確認された。しかし移植創の中に異所性の軟骨、骨、筋肉などは存在しなかった。これらの結果より、骨髄由来間葉系細胞は創に移植する事で、周囲環境に合わせ傷を瘢痕を少なく治癒する作用があることが確認された。
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