2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森川 利昭 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (60292025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 光宏 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (10241316)
守内 哲也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20174394)
加藤 紘之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80002369)
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Keywords | 肺癌 / 遺伝子治療 / 癌特異的プロモーター / SCCA2プロモーター / caveolin-1 |
Research Abstract |
正常細胞では遺伝子を発現せず,癌細胞でのみ発現しこれを障害する遺伝子発現ベクターを構築することを目的として以下の研究を行った.ヒト胎児由来の細胞株である293細胞よりゲノム遺伝子を抽出し,特異的プライマーを用いたPCR法にてSCCA2プロモーターDNAを抽出した.シーケンスにてDNA配列に変異のないことを確認した後,下流にレポーター遺伝子であるルシフェラーゼ遺伝子が発現するプラスミドベクターpGL3に導入した(pGL3-SCCA2).pGL3-SCCA2を用いて正常および肺癌細胞株における遺伝子発現特異性を検討した結果,正常細胞株では遺伝子発現が見られなかったのに対し,肺扁平上皮癌細胞株では67%の株で強い遺伝子発現が確認された.肺腺癌でも弱いながらも遺伝子発現が確認された.さらに,緑色発光遺伝子であるGFPを特異性のないCMVプロモーターの下流に,赤色発光遺伝子であるRFPをSCCA2プロモーターの下流に挿入した2重発現非増殖型アデノウイルスベクターを構築し,細胞株におけるGFP,RFP遺伝子の発現を検討した結果,このベクターが扁平上皮癌のみでRFP遺伝子を発現することを確認した.このことは,RFP遺伝子を治療遺伝子に置換することによって扁平上皮癌でのみ効果を示すことが可能である.これらの結果から,SCCA2プロモーターを組み込んだアデノウイルスベクターが扁平上皮癌を特異的に障害する治療ベクターとして有用であることが証明された.
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