2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877210
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森川 利昭 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (60292025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 光宏 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (10241316)
守内 哲也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20174394)
加藤 紘之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80002369)
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Keywords | 肺腫瘍 / 発癌 / AAH / 腺癌 / 扁平上皮癌 / SFT / 遺伝子検索 |
Research Abstract |
肺腫瘍凍結標本バンクを構築するために、十分なインフォームドコンセントのもと、切除された肺腫瘍凍結組織を超低温下に保存した。肺腫瘍をAAH、BAC、腺癌、扁平上皮癌、SFTに分類しmRNAを抽出、逆転写反応によってcDNAライブラリーを構築した。一方で、パラフィン包埋切片を用いて各種遺伝子の発現状況と病理組織学的因子、予後との相関を検討した。Caveolin-1遺伝子は肺正常上皮では発現がみられたが、腺癌への進展過程において次第に発現が低下し、最終的には重層化したほとんどの腫瘍で発現がみられなくなることが明らかとなったが、予後との相関は認められなかった。一方、扁平上皮癌では正常上皮と比較してCaveolin-1遺伝子が過剰発現している腫瘍と、変化のない腫瘍とが確認されたが、病理組織学的因子や予後との相関は認められなかった。他の組織型においてはCaveolin-1遺伝子の発現様式に変化はみられなかった。同様の結果はミスマッチ修復遺伝子であるMLH1とMSH2についても確認された。これらの遺伝子は早期の単層腺癌細胞では過剰発現がみられたが、重層化し腫瘍塊を形成する段階において発現が低下することが明らかとなった。以上のことから、発癌過程においていくつかの遺伝子発現の変化が肺の発癌や重層化、腫瘍の増大に関連していることが明らかとなった。良性、悪性腫瘍の鑑別で問題となる肺SFTについての遺伝子発現解析も同時に施行した。従来報告されている因子の他に、Ki67遺伝子の過剰発現がSFTの悪性度と相関する傾向が認められた。(論文投稿中)
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