2002 Fiscal Year Annual Research Report
重症呼吸不全に対する人工酸素運搬体を用いた腹膜換気の有効性
Project/Area Number |
13877216
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
増田 宏 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (10253866)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 俊一 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (90264415)
上村 亮三 鹿児島大学, 生命科学資源開発研究センター・実験動物研究分野, 助手 (30253884)
|
Keywords | 腹膜換気 / Stroma-free hemoglobin |
Research Abstract |
1.急性肺障害モデルの作成 重症呼吸不全に対する腹膜換気(Peritoneal ventilation以下PV)の有効性を検討するには実験モデルにおける肺障害の安定した再現性が必要であり、標準的モデルとされる二つの方法を試みた。(1)オレイン酸静注モデル(n=5):常に動脈圧の低下がPaO_2の低下に先行し循環障害に陥った。循環系の因子が主体になると考えられた。(2)生理食塩水気道内洗浄モデル(n=8):洗浄量・回数を変えて検討し、FiO_2=1.0でPaO_2を30mmHg前後に1-2時間維持できるようになった。この間、動脈圧の変動は少なく肺障害モデルとしては(2)の方が適していると判断した。 2.Stroma-free Hb(以下SFH)の腹腔内灌流による腹膜換気の検討 PVでのガス交換は拡散によって営まれるので酸素運搬体と毛細管内の血液との間隙は小さいほど交換効率が良い。また人工酸素運搬体は高価なうえ、通常の施設では作成困難なことなどからSFHを灌流液に選択した。(1)PV導入モデルの検討:酸素加・灌流装置の改善によりSFH 5g/dlでPaO_2600mmHg前後、灌流量100ml/minを維持できるようになった。これを低酸素モデルと肺障害モデル(各々n=1)に使用したが、明らかなPaO_2の改善は得られなかった。(2)考案:現時点ではPaO_2の改善が得られなかった原因は不明である。腹膜の絶対的な灌流血液量不足、free-Hbの酸素親和性の問題などいくつかの原因も考えられるが、例数も少ないので実験を重ねたうえでの再検討が必要と考えている。
|