2001 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸活性化酵素発現調節による悪性神経膠腫増殖抑制に向けての基礎研究
Project/Area Number |
13877219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
隈部 俊宏 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10250747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳男 東北大学, 遺伝子実験施設, 教授 (30192412)
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Keywords | acyl-CoA synthetase / glioma |
Research Abstract |
1)脳腫瘍症例におけるACS 2 mRNA発現の解析:正常脳では高いACS 2 mRNAの発現が認められるのに対し、glioblastoma multiforme 48例中14例で発現が認められなかった。Low grade astrocytoma 5例、anaplastic astrocytoma 13例、ganglioglioma 1例、anaplastic oligodendroglioma 2例のいずれの症例も正常脳と同様にACS 2 mRNAの高い発現を示した。astrocyte由来以外の脳腫瘍症例(metastatic tumor 1例、meningioma 1例、germinoma 1例)ではACS 2 mRNAの発現は認められなかった。 2)神経膠腫樹立細胞株におけるACS 2 mRNA発現の解析:神経膠種樹立細胞株A172、T98G、U251、U373MG、U87MGのいずれの細胞株でACS 2 mRNAの発現は認められなかった。 3)神経膠腫症例及び神経膠腫樹立細胞株におけるACS 2遺伝子変異の解析:ACS 2 mRNAの発現の低下したglioblastoma multiforme症例ではいずれの症例もゲノムDNAは正常であった。 4)神経膠腫症例及び神経膠腫樹立細胞株におけるPPARβ(peroxisome proliferator-activated receptors beta)mRNAの発現おとび遺伝子変異の解析:PPARはα、β、γの3つのisotypeがあり、中でもPPARβ mRNAは脳に高く発現し、ラットにおいてACS 2遺伝子の転写を制御していることが示唆されている。1)、2)で用いた摘出標本および細胞株より抽出した総RNAおよびゲノムDNAを解析した結果、ACS 2 mRNAの発現とPPARβ mRNAの発現に相関は認められず、ACS 2 mRNA発現の低下したglioblastoma症例ではいずれの症例もPPARβ遺伝子の塩基配列異常は認められなかった。 5)神経膠腫症例におけるGFAP(fibrillary acid protein)mRNAの発現およびACS 2 mRNA発現の相関に関する解析:ACS 2 mRNAの発現とGFAP mRNAの発現に相関はなかった。 6)ACS 2遺伝子導入による神経膠腫樹立細胞株の細胞増殖および細胞死に対する影響の解析:ACS 2遺伝子を強発現するアデノウイルスベクターを構築している。ACS2 mRNAを発現していない神経膠腫樹立細胞株U87MGに遺伝子導入し、細胞増殖および細胞形態の変化における影響を解析する予定である。
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