2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877225
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩崎 忠彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60278687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50196474)
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
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Keywords | 頭部外傷 / 神経幹細胞 / 神経再生 |
Research Abstract |
当救命救急センターでは、頭部外傷後の急性期治療・研究を行ってきた。しかし、中枢神経損傷により一度失われた中枢神経機能の回復は困難であり、患者さん本人だけでなく、残された家族など社会的にも重要な問題である。そこで、我々は頭部外傷後の中枢神経機能の回復を目的とし、成体の中枢神経に内在する神経幹細胞の再生能力に着目した。 本研究では、ラットの機械的脳挫傷モデルを用いて、頭部外傷後の神経幹細胞の動向と神経幹細胞を制御する遺伝子学的背景を解析した。まず、頭部外傷後、側脳室周囲・海馬歯状回に存在する神経幹細胞の動きをBrdU用いてラベルすることにより解析した。頭部外傷後、神経幹細胞の存在する側脳室周囲、海馬歯状回では細胞増殖が認められ、特に側脳室周囲では両側性の神経幹細胞の増殖が認められた。脳室周囲で両側性に増殖する神経幹細胞をアデノウイルスでラベルし、外傷後2週間までの神経幹細胞の動きを解析したところ、外傷後増殖した神経幹細胞は非外傷群の神経幹細胞に比べ分化・移動が抑制されていた。頭部外傷後、側脳室周囲の神経幹細胞は増殖するものの、移動・分化が抑制され、ニューロン新生能力が抑制されていると考えられた。そこで、外傷後のこのような神経幹細胞の動きを制御するメカニズムを解明するため、外傷後の側脳室周囲における遺伝子発現を解析した。遺伝子発現の解析にはcDNAマイクロアレイ法を用い、その結果を、RT-PCR、in situ hybridizationを用いて確認した。9596遺伝子をスクリーニングした結果、97遺伝子の有意な発現上昇、204遺伝子の有意な発現低下が見られた。これらのプロファイリングされた遺伝子は外傷後の神経幹細胞を制御する重要な遺伝子と考えられ、外傷後の神経幹細胞を制御するメカニズムの解明につながると思われ、最終的には内在性神経幹細胞を用いた中枢神経再生を目指している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shiozaki T: "Efficacy of moderate hypothermia in patients with severe head injury and intracranial hypertension refractory to mild hypothermia."Journal of Neurosurgery. 99. 47-51 (2003)
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[Publications] Hashiguchi N: "Mild hypothermia reduces expression of Heat Shock Protein 60 in leukocytes from severely head-injured patients."Journal of Trauma. 55. 1054-1060 (2003)
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[Publications] Yoshiya K: "Profile of gene expression in the subventricular zone after traumatic brain."Journal of Neurotrauma. 20. 1147-1162 (2003)
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[Publications] 井上 貴昭: "蘇生後脳症患者における急性期脳血流動態の検討"脳死・脳蘇生. 15. 34-39 (2003)
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[Publications] 塩崎 忠彦: "重症頭部外傷患者に対する脳温管理(37℃、34℃、31℃)"脳神経外科速報. 14. 65-73 (2004)