2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入療法を用いた同種神経移植における拒絶反応抑制
Project/Area Number |
13877233
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40204490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 倫政 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30322803)
三浪 明男 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20133738)
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Keywords | 遺伝子導入療法 / 同種神経移植 / Adonovirus vector / CTLA4Ig |
Research Abstract |
我々はT細胞活性化をブロックし、急性拒絶反応を抑制するとされる可溶性融合蛋白CTLA4Ig遺伝子をadenovirus vectorに組み込んだAdCTLA4Igを用い、同種神経移植において移植神経へのAdCTLA4Ig局所投与によるCTLA4Ig遺伝子導入が可能か、またAdCTLA4Ig全身投与または局所投与により移植神経の急性拒絶反応が抑制可能かについて検討した。 主要組織適合抗原(RT1)亜領域の全て異なるACIとLewisラットを用いて、同種神経移植モデルを作成した。これをsyngeneic graft (Lewis-Lewis)群、allogeneic graft非治療群、allogeneic graftのAdCTLA4Ig全身投与群、allogeneic graftのAdCTLA4Ig局所投与群の4群に分けた。先に精製したAdCTLA4Igウィルス液を、全身投与群は1x10^9pfu/ml、局所投与群は3x10^8pfu/ml投与した。 AdCTLA4Ig全身投与では、投与後7〜10日で血中CTLA4Ig濃度はピークに達し、投与後3週でも高いCTLA4Ig血中濃度が維持されていることがわかった。一方、移植神経へのAdCTLA4Ig局所投与では投与後1週ではCTLA4Igの発現が確認されたが、2週ではほとんど発現が確認されず、局所投与によるCTLA4Ig遺伝子導入は可能であるがCTLA4Ig蛋白は長期に発現しないことがわかった。 拒絶に対する組織学的評価では、移植後2,8週の移植神経において局所投与群では移植後2週では非治療群に対して有意に拒絶が抑制されていたが、8週では拒絶が進行し非治療群と有意差はなかった。これに対して全身投与群は2,8週共に非治療群に対して有意に拒絶が抑制されており、8週ではsyngeneic graft群よりも微細ながら再生神経も観察された。 電気生理学的検査では移植後8、16週で坐骨神経の神経伝導速度の測定を行った。8週では非治療群と局所投与群では検不能であったが、全身投与群では8週では健側の41%の速度で16週ではさらに回復し健側の74%の伝導速度となっていた。 同種神経移植におけるAdCTLA4Ig局所投与と全身投与では、組織学的評価でも電気生理学的評価でも拒絶抑制効果の有効性に差があることがわかった。
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