2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌におけるSKP2の発現およびp27タンパク分解との関連
Project/Area Number |
13877317
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10154783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 淳 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70335660)
宮内 睦美 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50169265)
小川 郁子 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (70136092)
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Keywords | 口腔癌 / p27 / Skp2 / 癌遺伝子 / 遺伝子治療 / 予後因子 |
Research Abstract |
p27タンパクの発現低下が口腔扁平上皮癌(OSCC)において高頻度に認められ,また悪性度と正の相関関係があることから,p27ならびにその関連因子をターゲットとした遺伝子治療の可能性に関する基礎的研究として,本研究では,OSCCにおけるp27分解に関与するSKP2の発現およびp27発現低下との関連ならびにSKP2のp27タンパク分解への関与について検討した.その結果,以下の結果を得た. 1.軽度から中等度上皮異形成症では9%のみにSKP2の高い発現がみられたのに対し,高度上皮異形成症では半数に発現の増強が認められた.p27の発現低下はいずれにもみられなかった. 2.OSCCでは49%にSKP2の高発現があり,転移を伴う症例でより高い発現を示した. 3.p27の発現を欠く症例のうち58%がSKP2の高発現を示し,SKP2とp27の発現状況には負の相関関係がうかがわれた. 4.SKP2高発現症例は低発現例に較べて有意に低い生存率を示し,さらに,SKP2を高発現しp27の発現が低下している症例は,より低い生存率を示した. 5.OSCC組織ならびに細胞株ともに,SKP2を高発現するものにp27の分解能が高かった. 以上の結果からSKP2がOSCCの予後判定因子として有用であるとともに,癌治療の新しい標的となることが示された.なお,本研究ではSKP2遺伝子あるいはSKP2アンチセンスオリゴヌクレオチド導入し,p27タンパクの発現変化,細胞増殖および浸潤能への影響をみることを試みたが,SKP2のベクターに不備があり目的を達成することができなかった.しかし,本研究に関連して高い浸潤能とp27分解能を有するOSCC細胞株を樹立することができたので,今後,これを用いて,新しいベクターを作成し,検討を続けたい.
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[Publications] Kudo, Y.: "High expression of Skp2, human F-box protein, correlates with poor prognosis in oral squamous cellcarcinomas"Cancer Research. 61. 7044-7047 (2001)
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[Publications] 高田 隆: "口腔扁平上皮癌におけるSkp2の発現とその意義"歯科基礎医学会雑誌. 43. 631 (2001)
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[Publications] 佐藤 淳: "口腔扁平上皮癌におけるSkp2の発現とその意義"日本病理学会会誌. 91. 215 (2002)