2002 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部領域における瘢痕・癒着形成に対する組織隔離法の有用性に関する実験的研究
Project/Area Number |
13877335
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 正 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80168062)
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Keywords | 癒着 / 瘢痕 / 組織隔離法 / 癒着防止 |
Research Abstract |
我々はヒアルロン酸CMC膜などの生体材料を用いて、頭頸部領域における組織隔離法の有用性を検討するため、昨年度の検索において確立した実験モデルを使用し、今年度は以下の検索を行った。 実験には7週齢のウィスター系ラット(雄)を用い、以下の詳に分けた。 1.対照詳:大腿部皮膚に切開を入れ、筋膜上で剥離翻転し、弁を形成した。弁直下の筋を筋膜とともにたて約15mmよこ約20mm深さ約1mmの大きさで切除し、剥離した弁側の筋膜も可及的に剥離し閉創した。 2.実験群:対照群と同様の方法で処置を行い、閉創前にヒアルロン酸CMC膜(以下HA/CMC膜とする)を欠損部に貼付し皮膚と筋組織とを物理的に遮断した。 各群ともそれぞれ処置後2週目から8週目まで2週ごとに安楽死させ、大腿部皮膚および筋組織を試料として摘出した。摘出した試料は通法に従って病理組織学的検索、免疫組織学的検索、組織計量学的検索を行い、癒着形成の経時的変化を比較検討した。 対照群では皮膚と筋との間に形成された肉芽組織が経時的に線維化し、3週目には緻密な線維性結合組織になり、皮膚と筋の癒着がみられた。一方、実験群の損傷部には対照群と比較し、長期にわたりマクロファージを含む肉芽組織がみられ、肉芽組織中のBrdU陽性細胞数は高い値を示していた。また、皮膚側および筋側の結合組織の間には一層の疎性結合組織が存在し、皮膚と筋との明らかな癒着は認められなかった。 以上より、周囲の組織の線維化が完了するまでの期間よりも長くHA/CMC膜が組織に停滞していれば、物理的バリアとして有用であることが明らかになり、HA/CMC膜が組織に停滞する期間を調節することで皮膚と筋との癒着の軽減に応用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)