2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松木 則夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70126168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池谷 裕二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (10302613)
山田 麻紀 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00312281)
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Keywords | 再生医療 / 神経細胞分化 / 骨髄間質細胞 / 倫理 / アポトーシス / 細胞周期 / cAMP / シナプス形成 |
Research Abstract |
幹細胞から特定の組織や細胞を分化させ、それを移植することで疾病治療する再生医療は21世紀型の医療として注目を浴びている。しかし、再生医療の材料として現在主要に研給されているES細胞はヒト受精卵から採取、加工したもので、倫理的な問題などを抱えている。とくに、神経細胞は、脳に移植するので、痴呆やパーキンソン病に奏功するとしても倫理的・さらに精神的にも、患者の負担が考えられる。そこで、患者本人から採取可能な骨髄間質細胞から、神経細胞を分化させることを試みた。実験的にクラゲ蛍光タンパク質を発現するラットをもちい、骨髄から間質細胞を採取・培養した後、薬物処理により細胞内cAMP濃度を高めることで、神経細胞のマーカータンパク質の発現が起こることを確認できた。これを、ラット脳神経細胞と混合培養した際に、情報伝達がおこなわれるか、蛍光下パッチクランプ法による電気生理学的解析を試みた。現在までに、間質細胞由来細胞に神経細胞としての形質を示すデータは得られていない。一方、神経細胞マーカーの発現に伴い、細胞に形態変化が起こることから、アポトーシスによる細胞死も惹起されていることが考えられたので、カスパーゼ活性と核の形態から確認した。すなわち、神経細胞分化とアポトーシスは近い関係にあることが予測された。このことはアポトーシスの惹起メカニズムと細胞周期の調節異常について近年指摘されている仮説と共通点がある。すなわち、骨髄間質細胞などの細胞周期を持つ細胞から神経細胞のように細胞周期を止めた細胞に分化させるときには細胞周期調節異常による細胞死が起こると考えられる。細胞周期の観点から神経細胞をとらえ直すことが、細胞死を抑えた確実な分化誘導を起こすために重要であろうという基礎科学的観点が、我々の研究によって提示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Suzuki, K., Y.Ikegaya, S.Matsuura, Y.Kanai, H. Endou, N.Matsuki: "Transient Upregulation of the Glial Glutamate Transporter GLAST in Response to Fibroblast Growth Factor, Insulin-like Growth Factor and Epidermal Growth Factor in Cultured Astrocytes"J. Cell Sci.. 114. 3717-3725 (2001)
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[Publications] Ikegaya, Y., J-A Kim, M.Baba, T.Iwatsubo, N. Nishiyama, N.Matsuki: "Rapid and reversible changes in dendrite morphology and synaptic efficacy following NMDA receptor activation : Implication for a cellular defense against excitotoxicity"J. Cell Sci.. 114. 4083-4089 (2001)
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[Publications] Arai, K., N.Nishiyama, N.Matsuki, Y.lkegaya: "Neuroprotective effects of lipoxygenase inhibitors against ischemic injury in rat hippocampal slice cultures"Brain Rec.. 904. 167-172 (2001)
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[Publications] Arai, K., Y.Ikegaya, Y.Nakatani, I.Kudo, N.Nishiyama, N.Matsuki: "Phospholipase A_2 mediates ischemic injury in the hippocampus : a regional difference of neuronal vulnerability"Eur. J. Neurosci.. 13. 2319-2323 (2001)
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[Publications] Matsuura, S., Y.Ikegaya, M.K.Yamada, N.Nishiyama, N.Matsuki: "Endothelin downregulates the glutamate transporter GLAST in cAMP-differentiated astrocytes in vitro"Glia. 37. 178-182 (2001)
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[Publications] Katsuki H, Y. Itsukaichi, N. Matsuki: "Distinct signaling pathways involved in multiple effects of basic fibroblast growth factor on cultured rat hippocampal neurons"Brain Res.. 885. 240-250 (2000)