2001 Fiscal Year Annual Research Report
中高年女性における女性ホルモン補充療法の費用・効果比の算出
Project/Area Number |
13877387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤水 尚史 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20231813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
今中 雄一 京都大学, 医学研究科, 教授 (10256919)
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Keywords | 女性ホルモン補充療法 / 骨粗鬆症 / 大腿骨頚部骨折 / 脊椎骨折 / 費用・効果分析 |
Research Abstract |
高齢化時代を迎えて女性ホルモン補充療法(HRT)が、中高年女性の疾病予防やQOL改善のみならず医療経済的な面からも非常に注目を浴びている。欧米においては、閉経後女性の20-30%においてHRTが施行され、その医療コストと骨折や心血管障害などの予防効果との是非が盛んに論じられている。しかしながら、日本においては同療法の普及率は欧米に比べてまだ10分の1程度であり、日本における同療法の医療経済的面から見た詳細な検討はほとんどない。そこで今回、欧米におけるHRTの医療経済的研究を調査し、次いで日本におけるHRTのCost-Benefit analysis(費用・便益分析)を試みた。骨粗鬆症・骨折以外のHRTの効果はまだ確立されていなかったり、定量的評価が困難であったので、骨粗鬆症・骨折に対する影響に絞って行った。HRTにかかる費用は、骨粗鬆症の閉経女性に限定しても年間約9,340億円、50歳以上の女性すべてを対象にすると年間約2.9兆円もかかると推計された。このような費用の大きさを考えると、HRT適応の厳格な指針が必要と考えられた。ただし、HRTにかかる費用はその副作用を考慮しても他の骨粗鬆症薬物治療に比べて決して多額ではなかった。HRTの骨粗鬆症・骨折への便益は、直接費が約2,951億円、間接費約82億円、計約3,033億円となり、骨粗鬆症・骨折にかかる医療費の約20%の経費節減に寄与できる可能性が示唆された。HRTの骨密度低下や骨折に対する強力な抑制効果を考慮すると、他の骨粗鬆症用薬剤に決して劣らない便益を有すると考えられた。以上より、HRTは費用・便益とも他の骨粗鬆症薬物療法に匹敵またはより有利な治療法であることが示された。HRTの骨粗鬆症・骨折以外の便益を考えると潜在的には非常に優れた治療法であると考えられた。今後、日本でのHRTの普及を妨げている要因の分析や、HRTに関する臨床疫学的データの蓄積・解析が望まれる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Byun CH, Park JY, Akamizu T, Chae CB.: "Identification of the Peptides that Inhibit the Function of Human Monoclonal Thyroid Stimulating Antibodies from Phage Displayed Peptide Library"J Clin Endorinol Metab. 86(7). 3311-3118 (2001)
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[Publications] Hataya Y, Akamizu T, Takaya K, Kanamoto N, Ariyasu H, Saijo M, Moriyama K, Shimatsu A, Kojima M, Kangawa K, Nakao K: "A Low Dose of Ghrelin Stimulates Growth Hormone (GH) Release Synergistically with GH-Releasing Hormone in Humans"J Clin Endorinol Metab. 86(9). 4552-4555 (2001)
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[Publications] Kanamoto N, Akamizu T, Hosoda H, Hataya Y, Ariyasu H, Takaya K, Hosoda K, Saijo M, Moriyama K, Shimatsu A, Kojima M, Kangawa K, Nakao K: "Substantial Production of Ghrelin by a Human Medullary Thyroid Carcinoma Cell Line"J Clin Endorinol Metab. 86(10). 4984-4990 (2001)
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[Publications] Hattori Y, Akamizu T, Saijo M, Kanamoto N, Moriyama K, Ito N, Nakao K: "Characterization of the secretable ectodomain of thyrotropin receptor produced by the recombinant baculovirus system"Mol Cell Endocrinol. 182. 165-174 (2001)
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[Publications] Akamizu T: "Antithyrotropin receptor antibody : An update"Thyroid. 11. 1123-1134 (2001)
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[Publications] Akamizu T, Nakao K, Imanaka Y: "Economic Evaluation of Female Horumone Replacement Therapy for Osteoporpsis and Fractures in Aged Women"医療経済研究. (印刷中). (2002)