2001 Fiscal Year Annual Research Report
血液胎盤関門における解毒能の個人差とMDR1の遺伝子多型の関係
Project/Area Number |
13877397
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澤田 康文 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (80114502)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 仁雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40038766)
|
Keywords | 血液胎盤関門 / 膜小胞 / 胎盤灌流 / MDR1遺伝子多型 / site directed mutagenesis |
Research Abstract |
本研究では胎児毒性回避の観点から血液胎盤関門機能の個人差に関する解析を行うことを目的とした。 本年度においては、まず各実験系の確立を行った。ヒト満期胎盤よりシンシチオトロホブラスト微絨毛側膜小胞(BBMV)および基底側膜小胞(BLMV)を単離精製し、放射性標識薬物の取りこみ実験を行った。その結果、BBMVにおけるMDR1の発現ならびに輸送機能を確認し、MDR1のキネティクスパラメーターを算出することができた。またヒト胎盤灌流実験を実施し、薬物の径胎盤移行の各素過程におけるキネティクスパラメーターを算出することができた。これら2つの実験結果を統合・解析することで、in vitro(膜小胞)とin vivo(胎盤灌流実験系)の両面から血液胎盤関門における薬物輸送特性の評価を行うことが可能となった。 次に、各被験者胎盤組織からゲノムDNAを抽出し、塩基配列解析やsingle strand conformation polymorphism法等を用いてMDR1遺伝子多型の解析が可能となった。現在、各被験者の持つMDR1遺伝子多型がin vivoやin vitroから評価したMDR1の薬物輸送機能に及ぼす影響について、その関連性の検討を行っている。またアミノ酸変異を伴うsingle nucleotide polymorphismがMDR1の薬物輸送機能に及ぼす影響を定量的に評価するため、昆虫細胞-バキュロウイルス発現系を用い、各変異発現細胞の作成を行っている。現在、G325A変異型発現細胞の作成が終了し、G2677A/T変異型発現細胞を作成中である。今後、これらの発現細胞から膜小胞を作成し、薬物取り込み実験によってMDR1の薬物輸送機能評価を行う予定である。 以上、本年度はヒト胎盤サンプルを用いて、被験者各個人のフェノタイプの違いとMDR1遺伝子多型との関係を明かにするための基盤を確立した。
|