2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877415
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
竹熊 千晶 九州看護福祉大学, 看護福祉学部・看護学科, 助手 (20312168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 泰夫 国語研究所, 言語変化研究部, 部長
田口 宏昭 熊本大学, 文学部・地域科学科, 教授 (20040503)
日高 艶子 九州看護福祉大学, 看護福祉学部・看護学科, 助教授
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Keywords | 「のさり」 / 障害受容 / 対処 / 家族 / 伝承 |
Research Abstract |
1.「のさり」の使われ方のアンケートについて:今年度は実施にはいたらなかった。しかし、研究者間で調査目的を明確化し、調査項目の検討を進めた。アンケートの調査企画書を作成し、地区の役場を通して依頼中である。 2インタビューについて:家族員に病いや障害をもつ2家族、及び役場職員にインタビューを実施した。 (1)人々は幼い頃から「のさり」「のさった」という言葉を聞き知っていたが、子供の頃は、ただ一方的に聞くことが多く、「いいものをもらった」という表層的な意味で使用していた。自分が大人になり、いろいろな経験をしていくなかで、良い時も悪い時も、試練の時も思い出す。人生の中で自分の通る道。いろいろな状況の中で、大人になってから年寄りたちが使用していた「のさり」がよみがえり理解できてきた。 (2)採録した事例については分析をすすめているところである。それによると介護する者にとって、家族外の人々から「のさった」と言われることは、その状況や文脈によって意味が違ってくる。介護の苦労を理解し、話を聞いてくれた人から最後に「のさったにゃあ」と言われると、胸にすとんと落ちる。ところが、話も聞かぬうちから「のさったった」と言われると、腹が立つ。このように「のさり」は両義的な意味を持つ言葉であることが明確になった。また、息子に先立たれ、我が身も病いを持つ事例では、家族内でもその状況を「のさり」と思う程度が、違っていた。 3.「のさり」の語源調査:民俗学、障害学などの文献や、新聞雑誌などの資料をもとに語源調査を行った。「のさり」とえびす信仰との関連が明らかになった。 4.次年度への課題と:目標アンケート調査票を作成し、実施する(G町の2地区に全戸調査の予定)。困難な状況の中での価値観の伝承という観貞から、町の中学生にもアンケートを予定している。インタビュー調査については事例を増やし、継続し、分析を行っていく。
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