2002 Fiscal Year Annual Research Report
親による乳幼児虐待を防止するための親子関係調整プログラム作成のための研究
Project/Area Number |
13877418
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江守 陽子 筑波大学, 社会医学系, 教授 (70114337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙屋 克子 筑波大学, 社会医学系, 教授 (90272202)
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Keywords | 育児ストレス / 対児イメージ / 乳幼児との接触経験 / 性役割志向性 / 未婚男女 |
Research Abstract |
青年期から乳幼児と接する機会を多く持ち、育児についての知識・技術教育を受けるならば、親になってから過剰な育児ストレスに曝されたり、不適切な養育態度とることを回避することができるとの仮説の元に、青年期の未婚男女が持つ対児イメージおよび性役割志向性と、乳幼児との接触経験とがどのような関係にあるかを検討した。 その結果、これまでの"赤ちゃん"との接触経験のうち多く経験した項目は「体に触ったことがある」92.1%であり、少なかった項目は「おむつを替えたことがある」33.0%であった。5項目の集計では平均3.0±1.5(男性2.7±1.5、女性3.3±1.4、t=-3.85、p<0.05)となり、女性の方が男性より有意に接触経験の項目数が多かった。 対児イメージの平均得点は81.9±9.8(男性79.3±11.0、女性83.7±8.5、t=-4.54、P<0.05)で、男性に比べて女性では有意に肯定的な対児イメージを抱いていた。 本研究の対象は特定の大学に在籍する学生であり、教育背景や家庭環境も限局された集団である上、自発的な研究参加者による回答であることから、すべて一般化することには無理があるが、"赤ちゃん"と接する機会を多く持ち、それが楽しくよい経験として残るような工夫をすれば、未婚男女に対する親準備教育のひとつとして"赤ちゃん"に接する機会を提供することは、意味のあることと思われる。 この結果から、親による子ども虐待防止対策は,親になる以前の未婚の青年男女にまで対象を拡大し、計画的、長期的な予防対策を講ずるべきであると思われる。 次年度においては、これらの研究の成果を踏まえ、乳幼児虐待を防止するための親子関係調整プログラム作成の検討を開始する予定である。
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