2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13878054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小林 聡 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50251707)
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Keywords | DNA計算 / 分子計算 |
Research Abstract |
本研究では,化学反応系のシミュレーション技法で用いられているメカニズムを計算機として眺めたときの計算論的な特性を分析することを第一の目標として掲げている.特に本研究では,分子数が大きい反応系を解析する際に用いられる常微方程式に基づいた(1)決定論的モデルと細胞内のような分子数の少ない微小領域内の反応をモデル化する際にも用いることができるより厳密な(2)確率的モデルに注目し,それらの間の関係を手がかりにして,情報処理を行う分子反応に適した確率的計算モデルを提案することを目的としている.本年度は,この計算モデル(1)の計算論的分析を進めた.既に得られているライゲション反応系の濃度予測アルゴリズムに関する結果を,より制約の緩い現実的な系でも対応できるようなアルゴリズムに拡張することを試みた.また,このような計算理論を構築していく上では,具体的な問題を考えて現実と解離しないように試みることが大切である.そこで,本年度は,分子計算系における具体的な問題として,配列設計問題を取り上げた.本問題は,分子反応系をDNA分子を用いて実際に実現する際の最も重要な問題であると同時に,配列設計自身を分子反応系で計算しようという試みも提案されており,分子計算系で取り扱われる具体的な問題としても興味深い.このような問題に対する分子反応系アルゴリズムの可能性を確率的に議論することは,分子反応系のための確率的計算理論の確立に役立つものと考えられる.そこで,本年度は,配列設計問題自身の解析を行った.その結果,配列設計問題に問題分割戦略を適用したテンプレート法を開発し,誤り訂正符号理論を応用することにより配列設計が柔軟に行えることを示した.今後は,このような符号の発見を行う分子反応系を構築できるのかどうかを確率的な解析を含めながら進めていき,確率的計算理論の足掛かりを作りあげたいと考えている.
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