2001 Fiscal Year Annual Research Report
高密度雪塊のシュート落下実験によるブロック雪崩のダイナミックスの解明
Project/Area Number |
13878080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
和泉 薫 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (50114997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 俊一 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (70001659)
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Keywords | ブロック雪崩 / 高密度雪 / 衝撃力 / 実験シュート / 衝突速度 / 運動モデル / 反発係数 |
Research Abstract |
ブロック雪崩発生の危険性が考えられる斜面の地形的特徴を把握するため、浅草岳一帯を現地踏査及びヘリからの斜め写真によって調査した。その結果ブロック雪崩は、筋状地形などを示す全層雪崩多発斜面の、勾配変更点から上の残雪が崩落することで発生する場合が多いこと、雪塊の到達距離やデブリ末端から発生点を見た見通し角などは積雪期の雪崩と大きな違いがないことなどがわかった。 積雪地域災害研究センターの東側階段部分に、建設用足場材料を使って、実験用シュート(高さ9.4m,幅0.9m,勾配32.6度)を設置し、シュート最下部に衝撃力測定のためのロードセル4台と速度測定のための光センサー2組を取り付け、雪渓から採取してきた高密度雪、純氷及び低密度雪をシュート上部から落下させて、雪氷塊の速度と衝撃力を測定した。この結果、密度600kg/m^3程度の高密度雪でも、純氷と同様の鋭い大きなピークを持った波形の衝撃力を示すこと、質量10kgの高密度雪で速度が12m/sの時、最大衝撃力は100kNにも達することなどがわかり、数kgの質量の高密度雪塊でも氷塊同様に十分殺傷能力があるというブロック雪崩の危険性が明らかにされた。 雪渓から採取してきた高密度雪の上に、同じ高密度の雪塊(直径約10cm)を3mまでの高さから自由落下させ、反発係数の測定を行った。0℃の含水状態にある高密度雪塊が高密度雪に衝突する際には、弾性破壊や塑性圧縮が起こり反発係数はほぼ0とみなせること、従ってブロック雪崩の運動において反発による跳躍を考慮する必要がないことがわかった。 現在、落石の運動モデルに倣って滑動,転動、跳躍する雪塊の運動シミュレーションモデルを作成しつつある。反発係数は自由落下実験から得られたので、今後動摩擦係数を実験から求め、それら係数を使って雪塊の運動シミュレーションモデルを構築し、ブロック雪崩災害現場の地形に適用して検証を行いたい。
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[Publications] 和泉 薫, 小林俊一ほか: "2000年6月新潟県浅草岳で発生したブロック雪崩災害の実態"(社)日本雪氷学会誌「雪氷」. 64・1. 39-47 (2002)
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[Publications] Kaoru IZUMI, Renji NARUSE: "Ice avalanche activities at Soler Glacier, northern Patagonia, in the summer of 1998"Bulletin of Glaciological Research. 19. 81-84 (2002)
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[Publications] 和泉薫, 小林俊一ほか: "2000-01年冬期の雪崩災害の特徴"2001年度日本雪氷学会全国大会講演予稿集. 185 (2001)