2001 Fiscal Year Annual Research Report
ルアンダ難民流入によるコンゴ東部の国立公園における自然破壊に関する研究
Project/Area Number |
13878101
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 薫 三重大学, 生物資源学部, 教授 (00189979)
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Keywords | 地理情報システム(GIS) / コンゴ民主共和国 / 衛星データ / 気候変動 / アフリカ / ゴマ / 自然環境 / キブ湖 |
Research Abstract |
本研究では、コンゴ民主共和国東部のキブ湖中心とした地域におけるルアンダ難民による自然環境への影響評価を調べることを目的とする。コンゴの一番美しい国立公園(ビルンガ、カフジビエガ)のあるこの地域には、世界に数百頭しか残っていないマウンテンゴリラの生息地でもある。現在、この地域は反政府軍による戦争状態になっているので、現場調査ができなかったため、本年度は、コンゴ気象庁をはじめ、各種の人工衛星(LANDSAT,NOAA等)データを収集・管理を行い、これからの本格的かつ総合的な研究のためのデータベースを作成することができた。 今回は、このデータベースを用いて、この地域の代表都市とするゴマ市(300,000人)とその周辺の予備的な解析を行い、以下の新たな気候・環境的な知見を得た。 1.赤道直下にあるにもかかわらず(南緯1.4度)標高の高い(1,552m)ゴマ市は、快適な気侯に恵まれていることがわかった。年中気温は19度前後、年間雨量1144mm、乾季のない環境地帯である。 2.過去30年間の気象データ解析のもとで、この町の年間平均気温が18.5度から19.3度まで(約0.27度毎10年間)上昇してきたが明らかになった。と同時に、この町の年間雨量が著しく減少している傾向も見られた。 3.人工衛星画像から、ゴマ市周辺やキブ湖西岸に破壊を受けた何ケ所の土地被覆が見られた。これらは、流入した難民の生活空間(難民キャンプ)や燃料と資材確保、あるいは焼き畑農業のために壊された地域環境であろう。 残念ことで、こうした人間による破壊の多いこの地域に、今年1月に、ゴマ市北部16kmにある強大な活火山ニィラゴンゴ火山の噴火により、ゴマ周辺やゴマ市の60%ぐらいの面積が溶岩で追われた。この自然災害も含めて、この地域の総合的な環境影響評価課題として、今後の研究を進めて行きたい。
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