2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境中に存在する有毒芳香族ハロゲン化合物の発生起源と生物活性による生成機構
Project/Area Number |
13878113
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
岩田 實 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (80042753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 勝 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (30300560)
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Keywords | 塩素化 / 臭素化 / ダイオキシン / 環境負荷 / 生物発生 / 海藻 / ピリヒバ / 海洋汚染 |
Research Abstract |
塩素化ダイオキシンと比較して臭素化ダイオキシンは、その発生起源や生成経路などについてほとんど明らかにされていないことから、臭素化ダイオキシンに注目することにより海洋環境での生物活性による生成についての可能性について検討を行った。多くの海藻にはブロモ化を触媒するbromoperoxidase(BPO)が存在していることから、BPOによる芳香族化合物のブロモ化についてフェノール(Phol)、ジベンゾフラン(DF)を基質としてBPO活性によるブロモ化反応について調べた。 Pholを基質としてBPO反応させた場合、o-bromophenol(29.3%),p-bromophenol(52.7%),2,4-dibromophenol(12.6%),2,6-dibromphenol(1.8%),2,4,6-triburomophenol(5.5%)の5種類のブロモ化Phol類が生成された(カッコ内はBPO反応により生成した臭素化Pholの存在比率)。これらの生成反応経路を調べるためにBPO反応溶液にCl^-を添加したが、生成物としてブロモ化Pholのみであり塩素を含むPhol類を検出できなかった。これらのことから、ブロモ化Pholは、BPO活性によるBr^+がPholへの求電子置換反応を経て生成されると考えられる。 実際に木材腐朽菌により生成するDFを基質としてBPO反応させHPLC分析を行った結果、ブランクには見られないDF以外の明瞭なピークを確認した。検出波長285,305nmおよび蛍光測定を行ったところ、一つ以上の臭素が結合したDFが生成されていることが示唆された。更に詳しい構造を調べるために、GC/Mas分析による同定を予定している。 海藻のBPO活性は非常に高く、今回使用した反応系の約5倍あることから、BPO活性により、生理的な条件において臭素化ダイオキシンを生成する可能性は、非常に高いと考えられる。
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