2002 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegans卵受精時のCa^<2+>-Signalingの機構の解析
Project/Area Number |
13878152
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
黒田 英世 富山大学, 理学部, 教授 (50064845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 律 富山大学, 理学部, 助手 (50064879)
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Keywords | 線虫 / C.elegans / 受精 / カルシウム / IP_3 / リアノジン / RNAi |
Research Abstract |
種々の動物卵が受精するとき、細胞内カルシウムイオン濃度の一過性上昇(Ca^<2+>-transient)がおきることが知られている。精子がいかにしてこのような変化を引き起こすかについて、色々な手段で追求されているが未だに明らかにされていない部分が多い。本研究においては遺伝学的手段と分子生物的手段の利用が可能な線虫を用いてこの課題を追求した。 前年度においては、自家受精のみなならず他家受精時にも、卵巣中の卵母細胞が貯精嚢に進入直後、Ca^<2+>-transientが発生することを観察した。またIP_3 receptor(IP_3R)のmntantのitr-1株およびryanodine receptor(RyR)のmutantのunc-68のkh30株およびe540株のいずれにおいても、野生株のCa^<2+>-transientと定性的に差のないCa^<2+>-transientが観察された。 本年度は前年度の結果をさらに確実なものにするため 1.卵母細胞にDNA感受性の蛍光色素を負荷しておき、貯精嚢通過後の卵に精子のものと思われる核が進入している事を観察し、確かに受精していることを確認した。 2.3種の突然変異種における、Ca^<2+>-transientの観察を繰り返し行い、野生種のそれと差のないことを確認した。 3.itr-1遺伝子の一部をcodeする二本鎖RNAを、岡山大学香川研究室の協力のもとに合成し、卵巣多核体に注入した。行動などより判断しRNAiに成功していると思われるが、Ca^<2+>-transientには大きな変化は認められなかった。理由は分からないが、unc-68遺伝子に対するRNAiには成功しなかった。 以上に結果より(1)このCa^<2+>-transientの発生に、IP_3RおよびRyRは関与していないか、あるいは(2)両者がともに正常のときのみCa^<2+>-transientを発生すると考えられる。
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[Publications] D.Kanematsu, R.Kuroda, H.Kuroda: "Mutation of IP_3 receptor or ryanodine receptor did not affect the Ca^<2+>-transient in C.elegans oocyte"Zool.Sci.. 18suppl. 87-87 (2001)
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[Publications] Kuroda, H., Kanematsu, D., R.Kuroda: "The generating mechanism of Ca^<2+>-transient in fertilization of S.elegans"Jap.J.Physiol.. 52suppl. S50 (2002)