2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経冠由来細胞の分化機構における2種類の新規タンパク質NELLの機能解析
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13878161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒田 俊一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (60263406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷澤 克行 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20133134)
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Keywords | 神経冠細胞 / EGF様リピート / 骨芽細胞 / 神経細胞 / トロンボスポンジン1 |
Research Abstract |
本研究では、大量精製に成功したNELL2タンパク質を、様々なシグナルカスケード(EGF、NGF、bFGF、TGFβ、Wnt)のアッセイに供したが、いずれのカスケードにおいても細胞外でリガンドもしくはモジュレー夕ーとして作用する可能性はかなり低いと判断された。その中で、唯一有意な結果が得られたのは、ラット胎仔海馬由来初代培養ニューロンに対する生存維持活性であった。しかし、ニューロンに対して同種の活性を示すサイトカイン等は多種多様であり、現時点ではどのシグナルカスケードを作動させているのかは不明である。cDNAマクロアレイを使用してNELL2添加前後の初代培養ニューロン内における遺伝子発現の変化を観察した。その結果、bFGF及びTGFβファミリー関連タンパク質の発現量はあまり変化しなかったが、BMP前駆体を細胞外でプロセッシングして活性化する酵素Furinと、全TGFβファミリーのシグナルカスケードに大きく関与している転写因子Smad4の発現量が著しく減少していた。これはNELL2が特定のBMPのシグナルカスケードに対して抑制作用を示す可能性を示唆しており、NELL1の知見と類似する点が多い。また、神経細胞特異的な遺伝子として、デルタミン酸毒性及びLTPに関与する事が知られているNAAG peptidase及びNGFI-A(Egr-1)の発現量が低下し、プロテオグリカンの一種であるbiglycanの発現量が増加していた。最近、higlycanは細胞外でTGFβとコラーゲン繊維に結合して、TGFβの活性を抑制し、ニューロンの生存維持に作用することが報告されており、NELL2の活性を説明するものとして興味深い。一方、NELL2のノックアウトマウス及びNELL2のトランスジェニックマウスを作成したところ正常に発生した。現在、両マウスの神経機能に関して解析を進めている。 これまでの研究を通してNELL1及びNELL2の機能に関する知見は蓄積したが、NELLタンパク質が直接関与する細胞内シグナルカスケードに関する情報は得られていない。おそらく全く新規のシグナルカスケード(少なくとも新規レセプター分子)が関与すると考えられる。今後はNELL結合タンパク質の単離解析を通してNELL特異的シグナルカスケードを発見する必要がある。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] T.Yamada: "Physicochemical and immunological characterization of hepatitis B virus envelope particles exclusively consisting of the entire L(pre-S1+pre-S2+S)protein"Vaccine. 19. 3154-3163 (2001)
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[Publications] I.Vandenberghe: "The Covalent Structure of the Small Subunit from Pseudomonas putida Amine Dehydrogenase Reveals the Presence of Three Novel Types of Internal Cross-Linkages, All Involving Cysteine in a Thio-Ether Bond"J. Biol. Chem.. 276. 42923-42931 (2001)
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[Publications] S.Datta: "Structure of a Quinohemoprotein Amine Dehydrogenase with an Uncommon Redox Cofactor and Highly Unusual Crossliking"Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.. 98. 14268-14273 (2001)
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[Publications] C.Ogino: "Identification of Novel Membrane-Bound Phospholipase D from Streptoverticillium cinnamoneum, Possessing Only Hydrolytic Activity"Biochem. Biophys. Acta. 1530. 23-31 (2001)
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[Publications] K.Maeda: "Brain-Specific Human Genes, NELL1 and NELL2, are Predominantly Expressed in Neuroblastoma and Other Embryonal Neuroepithelial Tumors"Neurol. Med. Chir. (Tokyo). 41. 582-589 (2001)
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[Publications] S.Lim: "Sharpin, a Novel Postsynaptic Density Protein that Directly Interacts with the Shank Family of Proteins"Mol. Cell. Neurosci. 17. 385-397 (2001)
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[Publications] 黒田 俊一: "プロテインキナーゼC結合タンパク質を介する新しい細胞内情報伝達機構"日本農芸化学会誌. 75. 1191-1199 (2001)
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[Publications] 黒田 俊一: "RINGフィンガーモチーフ"生体の科学. 52. 396-397 (2001)
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[Publications] 黒田 俊一: "EGF様ドメイン"生体の科学. 52. 462-463 (2001)