2001 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴモナス属細菌を用いる環境浄化システム構築基盤
Project/Area Number |
13896002
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 幸作 京都大学, 農学研究科, 教授 (90142299)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 富佐子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (60118007)
福田 雅夫 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20134512)
永田 裕二 東北大学, 生命科学研究科, 助教授 (30237531)
五十嵐 泰夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (90114363)
室岡 義勝 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60029882)
|
Keywords | スフィンゴモナス属細菌 / スフィンゴ糖脂質 / ダイオキシン / 体腔 / 環境浄化・再生 / 環境ホルモン / ゲノム構造 |
Research Abstract |
スフィンゴモナス属細菌は、グラム陰性であるにも関わらず、外膜にリポ多糖(LPS)を持たず、代わりに動物細胞の細胞膜に特有のスフィンゴ糖脂質を含む特徴的な細菌である。そのため、細胞表層は通常の細菌よりも疎水的雰囲気が強く、ダイオキシンなど水不溶性の環境有害物質の強力な分解菌として注目されている。また、この細菌群の細胞表層は巨大な襞分子によって覆われており、環境条件や栄養条件に依存してその襞分子を再編成し、巨大な孔(体腔)を形成する。この体腔は、巨大分子の取り込み口として機能する。このような特徴的な構造と強力な人工物質代謝能を利用することにより、強力な環境浄化・再生能を持っ細菌の育種が考えられる。そこで、スフィンゴモナス属細菌のかかる性質を、構造と機能、並びに自然界での生存形態の観点から詳細に解析し、その環境浄化・再生への適用の可能性を調査・研究した。その結果、本菌群が現在検討されている様々な細菌群よりも並外れた能力を有し、更に機能の向上を図ることによって、実用的な環境浄化・再生細菌の育種が可能であるという見通しを得た。更に、研究班員を動員して、平成13年11月21日、京都において本菌群の構造と機能に関するシンポジウム(産官学合わせて60余名の参加)を開催し、環境有害物質(天然高分子、人工高分子、環境ホルモン、農薬など)の分解能、分解機構、並びに分解に関わる酵素とその遺伝子について詳細な討議を行った。自然環境下でのスフィンゴモナス属細菌の形態形成制御とエコーシステムに関しても討議した。また、スフィンゴモナス属細菌の全ゲノム構造を決定するビッグサイエンスも開始しており、今後、この研究成果を特定研究にまで発展させる基礎と重要性が認識された。これを機に、我が国のスフィンゴモナス属細菌研究者を網羅した環境微生物研究会を正式に発足した。
|
Research Products
(1 results)