2013 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織由来幹細胞のβ細胞分化法および皮下移植法の研究
Project/Area Number |
13F02099
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角 昭一郎 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楊 凱強 京都大学, 再生医科学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 糖尿病 / 膵島 / 脂肪組織由来幹細胞 / 胚性幹細胞 / β細胞分化 / インスリン分泌細胞 |
Research Abstract |
世界的に糖尿病患者数の増加傾向が顕著であり、重症糖尿病に対する膵島移植に代わる治療法が模索されている。これに用いる細胞資源としてはES細胞やiPS細胞も研究されているが、未分化細胞の混入による腫瘍形成等に対する安全性の確立にはなお時間を要する。これに対し、体細胞、特に、脂肪組織由来幹細胞(ADSC)は患者自身から樹立することが比較的容易であり、また、無秩序に増殖する性質を有していない点でより安全性が高いと考えられ、実際の臨床応用に適した幹細胞である。 膵島細胞を分化誘導するため、胚における膵島分化を模して、中内胚葉→胚体内胚葉(第一段階)→原腸(第二段階)→前腸末端(第三段階)→膵原基(第四段階)→膵島(第五段階)の分化誘導プロトコールをデザインし、それぞれの段階でActivin a+Wnt3a、FGF-10+CYC、RA+FGF-10+CYC+noggin、exendin-4、exendin-4+IGF1+HGFを作用させた。この方法により、マウスES細胞(mESC)からはPdx-1・Ngn3・NeuroD1・MafAを発現する膵島様細胞が誘導されたが、ADSCでは成功しなかった。さらに、ウイルスベクターを用いてADSCとmESCに複数のβ細胞関連因子(Pdx-1・Ngn3・MafA・NeuroDl・Isl-1・Pax4)を発現させたところ、インスリン産生細胞も出現したが、グルカゴンの産生がより顕著であった。mた、これらの実験を通じて、培養液の構成や培養方法がβ細胞特異的遺伝子発現に影響することを見出した。 以上の結果から、各種増殖因子等を用いた分化誘導法はES細胞には有効であっても、ADSCには適さず、分化誘導の効率を上げるためには、浮遊培養等による細胞塊形成や培養液成分の最適化が必要と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験結自体は必ずしも好ましいものではないが、ADSCからβ細胞への分化誘導を試み、一定の知見は得られている。今後、分化誘導の効率向上に向けて、細胞塊形成等を含む培養条件の改善を検討すれば、さらに有意義な結果が得られることが期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今までの研究から、単純に増殖因子や各種サイトカインを作用させるだけでは、効率的なβ細胞への分化誘導は達成できないものと考えられ、浮遊培養や各種細胞塊作成法を用いた3次元培養の有効性を検証する研究に着手している。さらに、コラーゲン等培養基質や血管内皮細胞との共培養等、より生体内に近い環境での分化誘導を試みる計画である。
|
Research Products
(5 results)