2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 毅 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 永福 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 明末清初 / 中央政治 / 地方社会 / 党争 / 文社活動 / 行動実態 / 活動目的 / 秩序意識 |
Research Abstract |
研究者は第一年目においては、明末清初における江南地方の文人の中央政治ないし地方政治・社会における活動の展開するあり方について考察してきた。明清時代の中国における中央政治と地方社会は、いかなる原理の下で、どのようなメカニズムで運営されていたのか。そして、当時の人々が政治にたずさわり、社会を運営していく中で保持されていた価値観や理念、つまり秩序意識とはどの様なものであったのだろうか、これらの問題に取り組むのは、本研究の目的である。研究者は主に江南地方出身の文人たちの行動実態を糸口として、この問題を解明しようとする。 明末清初の中央の政治過程と地方政治・社会のあり方を解明することで、従来の「専制から民主へ」、「先進―後進」といった枠組みではなく、実態に即して当時の政治を理解し、中央と地方との政治的な連動を構造的に解明したいと考えている。特に、中央政治や地方社会における人々の行動目的、行動様式に注目し、それを踏まえて、当時の政治と社会を支えていた人々の秩序意識を明らかにしたいと考えている。第一年目において、研究者は主に万暦年間と康煕年間の立太子の件をめぐって発生した党争、および地方に族生していた文社を中心、史料を集め、分析してきた。特に後者においては、明末清初の文人たちの文社活動に参与した目的の分析を通じて、その意義について既往研究と異なる理解に至った。その中の清初の文社活動に関する部分を、研究論文として、まず学術雑誌で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者は第一年目において、おおむね順調に進展している。最初の計画として、明末から清初へ、または中央政治から地方社会へという順番で考察したいと考えた。ただし、研究が進展しながら、中央と地方をはっきり両分するのは難しいし、また史料は膨大であるとはいえ、まず網羅的に集め、通読しなければいけないと思っている。結局、中央から地方へという順番に拘りなく、網羅的に扱った清初文社の部分を先に論文の形に纏めってみた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者は今後も引き続き、明末清初の中央政治や地方社会における江南地方の文人たちの行動様式や目的に注目し、それを踏まえて、当時の中央政治ないし地方政治・社会の展開するあり方について考察していきたいと思う。そのため、まず関連する史料をさらに網羅的に集め、通読しなければいけない。そして、明末清初の中央政治と地方社会に緊密する文人たちの言論に注目し、その行動目的や様式と儒家思想との関係という側面に重点に置き、当時の政治と社会を支えていた人々の秩序意識をさらに追究していきたい。
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Research Products
(1 results)