2013 Fiscal Year Annual Research Report
東・東南アジア港町における異文化交流と「外交」活動
Project/Area Number |
13F03005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽田 正 東京大学, 東洋文化研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BIRGIT Tremml-werner 東京大学, 東洋文化研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 外交 / 東アジア海域史 / マニラ貿易 / グローバル・ヒストリー / 宣教師 / 港町 / 海賊 / スペイン |
Research Abstract |
研究課題に関連して、継続的に各種資料の調査と講読を行った結果、1年目にして以下のような数多くの具体的な研究成果を得た。 1. 研究成果の出版 1)3種類の賞を獲得したTremmlの博士論文(ウィーン大学 2012年)の原稿を改訂し、出版用に完成させた。最終稿は、来年度ライデン大学出版社から『Local Comparisons and Global Connectios : Spain, China and Japan in Manila, 1571-1644』というタイトルで刊行される。 2)申請書に記した課題の1と2について、Tremmlは学術論文をそれぞれ1本づつ完成させた。二本とも2014年度に海外で論文集の一部として刊行される予定である。 3)Tremmlは、オーストリアの歴史研究者と共に、海賊の世界史に関する高校の世界史授業向けの雑誌を刊行した。 2. 研究成果の報告 : Tremmlは、日本語、英語、スペイン語とドイツ語を用い、様々な学会とシンポジウムで港町及び対外関係について、合計7回の報告を行った。「日本」に注目することによって、16-17世紀の東アジアにおける外交や国際関係を新たな視点から再構成できるという目論見の下に行った研究の成果報告である。商人や宣教師、港町の住民など具体的な個人に関する文献を読み込んで、彼らがさまざまな形でいわゆる「外交」に携わったことを示し、当時の東アジアやスペインの諸政権が、意思疎通をどのようにして行っていたか、その関係のあり様は近代以後の「外交」とどこが同じでどこが異なっているのかといった点を明らかにした。 3. 研究成果の社会への還元 : JSPSのサイエンス・ダイアローグ事業に協力し、佐賀の致遠館高校でTremmlがその研究成果を英語で語り、羽田が通訳と解説を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記した「研究の目的」の中では、多くの個人の事績に注目すると述べている。本年度のうちに、これら個人に関する資料類はほぼ収集し終えることができた。また、研究実施計画はおおむね計画通り実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Tremmlは、収集した資料の整理と読解を集中的に行う。また、それが終わり次第、当初の研究の目的である港町の人々を通した「国家」の「外交」の実態とその意義について、一連の報告を行い、また、論文を執筆する。羽田の主宰する拠点形成プログラムに参加し、ベルリン大学で研究報告を行う。これによって、Tremmlと羽田を核とするグローバル・ヒストリーの世界的ネットワークを整備、拡充する。
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Research Products
(9 results)