2013 Fiscal Year Annual Research Report
仏教ネットワークで支える高齢者ヘルスケア・デザイン―国際地域比較研究―
Project/Area Number |
13F03008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SASIWONGSAROI Kwanchit 京都大学, 東南アジア研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 地域研究 / 地域在住高齢者 / 老年医学的総合機能評価 / ADL / 仏教寺院ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、本邦における地域在住高齢者に関する総合的機能評価(疾病、日常生活機能、抑うつ、転倒リスク、主観的Quality of Life、社会的背景)などを修得し、この評価法を用いて、タイ・コンケン地域高齢者に応用適用し、地域高齢者ケアならびに健康増進活動に関して、仏教寺院や仏教ネットワークの有用性を検討することにある。平成25年1月から3月にかけて、Kwanchit氏は、バンコク在住の65歳以上の高齢者300名についてインタビュー調査を実施した。インタビュー項目は下記である。 1)疾病診断、血圧測定、Body Mass Index評価、血糖値測定 2)日常生活機能評価(Activities of Daily Living : ADL) 3)老健式活動能力指標(TMIG-IC) 4)抑うつ評価(15-ltem Geriatric Depression Scale) 5)主観的Quality of Lifeの評価(visaual Analogue Scaletこよる評価) 6)社会的背景、経済状況評価(居住環境、婚姻状況、収入、家族関係) 7)仏教寺院へのアクセスの程度評価 その結果、バンコク在住高齢者において、仏教寺院へのネットワーク参加者は、非参加者に比して、他のConfounding factorsを調整しても、日常生活自立度ならびに主観的健康度、主観的幸福度が高いことが実証された。本研究から、仏教国タイでは、高齢者ヘルスケアーの一貫として仏教寺院のネットワークの活用が有用であることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Kwanchit氏は、平成25年9月15日に京都大学に着任後、3ヶ月間の間に、高齢者ヘルスケア・のツールである老年医学的総合機能評価の方法を完全にマスターした。その老年医学的機能評価の方法をべ一スとして、母国であるタイのバンコク在住高齢者に適用し、あらたに仏教寺院ネットワークの参加という項目を加えてランダム・サンプリングによる高齢者インタビューを行い、高齢者ヘルスケーにおいて、仏教寺院ネットワークの活用が有用であることを実証している点で、本研究計画は、当初の計画以上に進展していると判断される。当該研究の成果は、現在、英語原著論文としてとりまとめに入っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該研究を論文にまとめることと併行して、タイ・日の地域在住高齢者の違いについて解析を行い、日本への応用可能性をさぐる予定である。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はとくに認めない。
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Research Products
(1 results)