2013 Fiscal Year Annual Research Report
酸化的カップリングによる拡張芳香族マテリアルの合成
Project/Area Number |
13F03035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 教授
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Keywords | C-H活性化型カップリング反応 / オーキシン / 植物成長制御 |
Research Abstract |
オーキシン(Indole-3-aceticacid, IAA)は、最も古くから知られている植物ホルモンであり、植物のあらゆる生理応答に関わっている。オーキシンのシグナル伝達に重要な受容体タンパク質としてABP1やTIR1などが知られているが、これら以外の受容体の存在が示唆されるなど、オーキシンのシグナル伝達経路には未解明な部分が多く残されている。それぞれの受容体を選択的に、かつ器官特異的に抑制することができれば、各受容体の機能を浮き彫りにすることが可能で、オーキシンの機能解明にむけた飛躍的進展が期待できる。本研究では、C-H活性化型カップリング反応を用いた迅速合成を基盤に、各受容体に選択的に結合する高機能性人工オーキシンの開発をめざした。 インドール骨格へ種々の官能基が配置された化合物群の合成法として、予め官能基化した複素化合物の環化反応がこれまで多用されて来た。この方法は、過酷な反応条件を必要とすることが多く、選択性や効率が低いうえ、反応条件に耐えうる官能基が限られるなどの問題点が存在した。これに対し本研究では、C-H活性化型カップリング反応を用いることで、迅速な官能基化を達成した。とくにIAAの2位へは1段階で無保護のまま官能基化できる条件を用いることで、多様な置換基の導入されたオーキシン類縁体ライブラリーの構築を行った。得られた化合物の生理活性は、ABP1やTIR1など既知の受容体に対する刺激応答およびシロイヌナズナの表現系観察により評価した。その結果、オーキシンの受容体選択的なアゴニスト、アンタゴニストを見いだした。これらの分子群は、植物成長の機構解明を加速し、将来的には食料問題の解決への貢献が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは方向性を若干変更したが、結果的に予想以上の進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
申請当初の計画に加え、より植物生理に踏み込んだ分子設計および合成を推進する。合成化学と植物生理学の学際的研究の推進により、C-H活性化型カップリング反応の有用性を示すとともに、食料問題の解決に向けた革新的植物成長制御分子の開発を行う。
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