2013 Fiscal Year Annual Research Report
治療効果を指標に同定された新規抗菌薬の作用機序解析
Project/Area Number |
13F03093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関水 和久 東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAUDEL Atmika 東京大学, 大学院薬学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 抗菌薬 / 作用機序解析 / 感染症 / 細菌 |
Research Abstract |
多剤耐性菌による感染症克服のためには新規メカニズムに基づく、治療効果を有する化合物の開発が重要である。本研究においては、これまでに見いだされていた. カイコ黄色ブドウ球菌感染モデルで治療効果を示す有機合成化合物由来の抗菌化合物について、その作用機序及び標的を明らかにすることを目的とする。そこで、変異誘導剤を作用させた黄色ブドウ球菌から、薬剤に対する耐性菌を取得した。得られた3株について、次世代シークセンサーで解析したところ、2株に共通した遺伝子変異が認められた。ファージトランスダクションによる遺伝学的な手法により、この遺伝子変異と薬剤耐性は連関していることを見いだした。従って、本化合物の耐性の原因となる遺伝子変異を同定できたと考えられる。本遺伝子の機能として、RNA合成に関わると考えられた。そこで、放射標識化合物を用いて、化合物がどの高分子合成を阻害するか検討したところ、RNA合成が化合物の濃度依存的に阻害された。また、化合物の作用モードを明らかにする目的で、黄色ブドウ球菌を生育させた培地に化合物を添加後、生菌数を測定したところ、増殖は阻害するが、生菌数は減少しないことを見いだした。従って、本化合物の作用は静菌的であると考えられる。従って、本化合物はRNA合成を阻害することで、菌の増殖を抑制する抗菌薬であると考えられる。また、新規抗視物質カイコシンEの抗菌活性を促進する因子として、すでに同定している血清中のタンパク質に加え、さらに血清中で同じ複合体に含まれることが知られているタンパク質を同定した。従って、カイコシンEは複数の血清中のタンパク質によって抗菌活性が促進される、新たなメカニズムを有する抗生物質であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カイコシンEのもう一つの活性化因子についても計画通り同定できた。さらに、研究計画通りに、治療効果を示す抗菌薬の黄色ブドウ球菌の耐性に関わる変異遺伝子を同定したばかりでなく、次年度に予定していた作用機序の一端を明らかにしたことから、計画以上に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究計画において、問題となる点はない。今後は、カイコシンEの活性化因子による、活性化活性のメカニズム解析、及びカイコシンEの誘導体に対する応答性について検討し、活性化因子との構造活性相関について明らかにする。さらに、新規抗菌薬については、その作用機序をin vitroの再構成系を確立し解析を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Structure-activity relationship study of novel iminothiadiazolo-pyrimidinone antimicrobial agents2013
Author(s)
Paudel, A., Kaneko, K., Watanabe, A., Shigeki, M., Motomu, K., Hamamoto H., Sekimizu, K.
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Journal Title
J Antibiot (Tokyo)
Volume: 66
Pages: 663-667
DOI
Peer Reviewed
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