2015 Fiscal Year Annual Research Report
g因子制御された量子ドットにおける単一光子から単一電子スピンへの量子状態転写
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13F03322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樽茶 清悟 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40302799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LARSSON MARCUS 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子状態転写 / 光子電子変換 / 光学スピン閉塞効果 / 量子ドット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に以下に述べる光学スピン閉塞効果の実証を行った。この光学スピン閉塞効果は光子の偏光状態から量子ドット中の電子スピンへの量子状態転写の実証に等しく、本研究計画の最大の目標が達成された。具体的には、まず高速かつ高精度の電荷読出しのため、高周波反射法を用いた高速測定系の構築を行った。次に、GaAs基板上に単一の量子ドットデバイスを作製し、面内に磁場を印加した。実験では、光照射前の量子ドットに電子がない状態と電子が一つ入っている状態での単一光子電子変換効率の測定を行った。とくに、励起光の直線偏光の方向と励起波長に対する依存性を調べた。その結果、水平偏光と異なり、垂直偏光の照射時にはゼロ電子状態の量子ドットに比べて一電子状態の量子ドットでの変換効率が著しく減少することがわかった。特に、計算から求めた、スピン分裂した軽い正孔の励起波長で著しい減少がおこるのを明らかにした。これは、光励起により作られる電子スピンが、量子ドット中にいる電子スピンと同じ方向である場合に、パウリの排他率によって励起過程が抑制されるためである(光学スピン閉塞効果)。したがって、我々の結果では直線偏光によりスピンの選択的な励起ができていることになる。この直線偏光による光学スピン閉塞効果が観測されるには、光励起過程において量子状態転写が起こっている必要がある。したがって、単一光子から量子ドット中単一電子スピンへの量子状態転写の観測に成功したといえる。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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