2013 Fiscal Year Annual Research Report
高強度楕円偏光レーザーパルスによるアト秒分子イメージング
Project/Area Number |
13F03323
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
渡辺 信一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHOU Yueming 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 強レーザー / 分子イメージング / アト秒 |
Research Abstract |
X線回折や電子顕微鏡の実用化によって、オングストロームの原子サイズの分解能で物質の構造解析が容易に行われるようになって久しい。最近では、空間的情報に加えて、時間的情報についても高分解能で測定し、物質の状態遷移を分析する方法が数多く考案されている。本研究では、高強度赤外レーザーによって誘起される極短コヒーレント電子パルスを用いてアト秒(as, 1as=10^<-18>秒)領域の超高分解能を持っ分子イメージングを行う新しい手法の開発を行う。これまでに行われてきた直線偏光レーザーに加え、楕円偏光や2色レーザーなど、波形整形したレーザーによる高強度レーザー場中の原子・分子ダイナミクスを研究し、より高度なイメージング法の確立を目指すとともに、「アト秒科学」という、今までにない光科学の分野における新しい知見の獲得を目指す。 高強度レーザー場中の原子・分子は、時間依存シュレーディンガー方程式によって記述される。本研究では、分子系についての時間依存シュレーディンガー方程式を数値的に精度よく記述するコンピューターコードを開発し、得られた数値計算結果から物理的な本質を抽出する。本年度は、強レーザー照射による分子の解離/イオン化の情報の抽出に必要な、定常散乱状態を高精度で計算するプログラムの開発を行った。超球断熱座標を用いて、離散変数表示基底法、緊密結合方程式の解法における断熱展開法、R-行列伝播法、2次元接続法、漸近領域での漸近展開法など高度な計算手法を組み合わせて精度の向上を図った。計算で得られた位相のずれを他の理論計算結果と比較し、十分な計算パフォーマンスを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では分子内の電子と核の双方を完全に量子力学的に取り扱う。その第一歩として、量子力学的散乱問題の量子論的厳密数値解を求める有効な計算コードを開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
最も簡単な分子である水素分子イオンの散乱問題の高効率な計算コードは、レーザー物理のみならず、化学反応の研究などにも適用される。まずは、計算コードの高効率性を示すため、陽子+水素原子の散乱長や電荷交換断面積等の物理量を計算して結果をまとめて学術論文として発表する。その後、レーザー場中のダイナミクスの研究のための時間発展計算のプログラム開発を進める。
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Research Products
(1 results)