2014 Fiscal Year Annual Research Report
高強度楕円偏光レーザーパルスによるアト秒分子イメージング
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13F03323
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
渡辺 信一 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (60210902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHOU Yueming 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 高速分子ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子系についての時間依存シュレーディンガー方程式を数値的に精度よく記述することを眼目とする。それに必要な散乱状態の波動関数を、相互作用に対する特別な近似を用いないで、高精度でかつ高速に構築するためのコンピューターコードの開発を行った。超球楕円座標を用いることで、対象となるヒルベルト空間で完全系となる基底関数を断熱展開のために準備する。これを基に、離散変数表示基底法、緊密結合方程式の解法における断熱展開法、R-行列伝播法、2次元接続法、漸近領域での漸近展開法など種々の高度な計算手法を組み合わせて精度の向上を図った。種々のクーロン3体系の閾値近傍での散乱長を計算し、既存の値と比較ることで精度とパフォーマンスの検討を行った。 散乱長計算について補足すると、このように開発された数値解析技術を用いて、散乱長の質量比依存性をシステマチックに行った。散乱長は閾値近傍の低衝突エネルギー領域の現象を記述するのに適した物理パラメタ―であると同時に数値の精度に敏感に依存する。また、R-行列計算を実行する箱のサイズも閾値近傍では非常に大きくとる必要がある。このような条件下でも安定な数値計算ができることは、長波長の強光子場と原子・分子の相互作用の記述に充分活用できることを意味する。信頼度の高い散乱長の計算は我々の技術を物理系を対象として検証する上でも重要な役を演じたことを意味する。 現在、以上のような研究から得られた知見をまとめている。早々に学術雑誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散変数表示基底法、緊密結合方程式の解法における断熱展開法、R-行列伝播法、2次元接続法、漸近領域での漸近展開法など高度な計算手法を組み合わせに成功して、preliminaryな結果を国際会議で報告できるレベルまで到達している。様々なバリオンおよびレプトンの組み合わせが存在するが、質量について任意の組み合わせが存在するわけではないため、閾値近傍での散乱長も連続には存在しない。理論的に連続変数として散乱長を求めることで新たな知見を得ることが出来る。この点については、現在、論文としてまとめ上げる作業まで来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の理由より明らかなように、種々のクーロン3体系について、閾値近傍での散乱長を計算していく。その上で、システマティックな視点から、散乱長の挙動を理解していく。 以上によって、3原子分子ダイナミクスを記述する基本コードが完成することから、そのアト秒分子ダイナミクスおよびイメージングの計算に着手する。
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Research Products
(2 results)