2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体反応機構および協同現象解明のための大規模系局所振動解析の開発
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13F03331
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青木 百合子 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (10211690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIN Lin 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Elongation-vib法 / Elongation-構造最適化法 / Elongation-MD法 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該外国人特別研究員の研究計画は大規模系への超効率的かつ高精度な局所振動解析法を構築して、これを反応の遷移状態や分子動力学法に適用していくことである。これまでの研究員のバックグラウンドを生かせるように、まずElongation-MD法の発展とその応用を行った。 まず、非経験的分子軌道法レベルでのElongation法による構造最適化法と組み合わせることにより最適化を行った。OH-基は、エネルギーバリアなく複合体(Xylan)12-・H2Oの末端キシレンリングから水素を抽出し、水分子一個または二個を同じ端末キシレンリングに付加できることが分かった。Elongation法を用いて得られたすべての構造最適化の結果は、従来の計算結果と比較し、(Xylan)12, (Xylan)12-・OH-およびその水和錯体を正確に再現することが確認できた。 次にELG-MD法のテストのため、水分子の付加した糖鎖の代表例としてキシレンオリゴマーとその水和した複合体に適用した。 (Xylan)12-・H2O, (Xylan)12-・2H2O および(Xylan)12-・3H2O に対して、300K、500Kおよび700Kで10ps分子動力学シミュレーションを実行した。(Xylan)12-・H2O複合体は、室温で安定であったが、OH-基を形成したH2O分子は500Kで移動でき、700Kでは、H-抽出反応が逆転することを示した。さらに水分子を付加すると、移動反応を加速するのみで、それ以上の化学反応は起こらず、温度が上昇しても移動時間を短縮するのみであった。錯体(Xylan)12-・H2Oは高温でも、2つの余分な水の分子を付加すると非常に安定化させることが本Elongation-分子動力学法により示された。本内容はJ. Mol. Model., Lin Jin, Kai Liu, and Yuriko Aokiとして既にアクセプトされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本人の本課題のバックグラウンドは、ホスト側で開発してきたElongation法に基づいている。当研究員のプログラミング経験もなかったため、また途中で産休を取ったこともあり、当初は内容の理解と勉学に多くの時間を要していた。しかし最近は本人の本課題に対する理解度も深まり、自分なりに発展を考えることも可能となり、応用計算でも興味深い結果を得てきたため、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当研究室にて開発してきたElongation法の理解をさらに深め、Elongation-分子動力学法の高速化に向けたさらなる展開と応用を続けて行う。今度はElongation-局所振動解析法への展開に向けて本人のプログラム開発能力を磨き、開発中のSystem-Environment-局所振解析法プログラミングを行うための能力を養うことが必要である。さらなる大規模系への応用に向けて、局所分子動力学法と局所振動解析法をElongation法と結合した状態にて効率よく稼動するための手法の開発と、そのための基盤となる理論の勉強時間を十分とりつつ、実際の生体分子に対する応用計算を並行して行うことが、その後の課題の効率的展開には必要と考えている。
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Research Products
(1 results)