2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03336
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 治 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SEN Rupam 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 錯体 / スピン |
Research Abstract |
近年磁性体の外場制御の研究が盛んに行われている。外場に応答する磁性体は高密度メモリー材料やスイッチング材料への応用が可能であり、基礎および応用の両面から注目されている。これまでの磁性制御はスピン転移や原子価異性に代表されるようにスピンの多重度を変化させることにより行われている。しかし、磁性にはスピン角運動量だけでなく軌道角運動量が寄与するため、軌道角運動量を制御し磁性をスイッチさせることも可能である。そこで本年度は軌道角運動量の凍結・融解を外場で制御し磁性をスイッチさせるための基礎的な検討を行った。また、磁性を制御する手法として外場によるプロトン移動を利用する戦略を提案しプロトンドナーやプロトンアクセプターを導入したスピン転移錯体の開発を試みた。特に、分子性強誘電体の電場によるプロトン移動制御を参考に新しい金属錯体の物質設計を行った。さらに、分子設計に基づき配位子の合成を行うと共に、得られた配位子を鉄イオンに配位させることによりプロトン移動とスピン転移がシナジー効果を示す新しい鉄錯体の合成を試みた。また、コバルト原子価異性錯体にプロトンドナーやプロトンアクセプターを導入し、電場により電子移動を誘起できる新物質についても検討を行った。電子移動により、磁性、光学特性など様々な物性を制御できる可能性がある。2013年度の研究期間が四ヶ月という短い期間であったため未だ最終的な成功に至っていないが、来年度につながる多くの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトンドナーやプロトンアクセプターを導入したスピン転移錯体を設計し、実際に合成を行った。従っておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度合成した配位子を用いてスピン転移錯体と原子価異性錯体を合成し、プロトン移動とスピン転移やプロトン移動と電子移動がカップリングした新物性の発現を目指す。
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