2014 Fiscal Year Annual Research Report
非メバロン酸経路を標的とする新規複素環含有抗菌剤の合成と評価
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13F03344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大神田 淳子 京都大学, 化学研究所, 准教授 (50233052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARVATKAR Prakash 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非メバロン酸経路 / 抗菌剤 / 初発酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌が持つ非メバロン酸イソプレノイド生合成経路の初発酵素dxs を標的とする新規な作用機序による低分子抗菌剤を低分子ライブラリから探索するため、インフルエンザ菌由来のdxsを大腸菌から発現・精製した。96 wellプレートによるdxs阻害活性評価系を用いて、内在性脂肪酸ライブラリ100個の化合物を試験した結果、60 nMで60%以上の酵素活性を阻害する化合物を4個見出した。これらの化合物は炎症反応信号伝達物質プロストグランジンの類縁体であり、外来生物に対する細胞の防御反応との関連が想起された。そこで化合物の純品を用いて活性の濃度依存性を調べたが、濃度・活性相関ならびに再現性は明白に確認されなかった。したがって、これらの化合物はいずれもスクリーニングで見出された疑似陽性化合物であると結論した。 一方、カビの2次代謝産物であるジテルペンを抗がん剤に応用する手法開発の一環として、14-3-3阻害剤のフラグメント合成を検討した。天然物フシコクシンは、リン酸化リガンドペプチドと14-3-3の会合体に結合し、たんぱく質間相互作用を安定化する。そこで天然物フシコクシン誘導体とペプチド誘導体の、14-3-3鋳型を用いたライゲーション反応を検討した。フシコクシン12位ケト体と、C末端をアミノオキシ基に変換したペプチドを有機合成的に調製し、14-3-3存在下、種々の条件下でオキシム形成反応を検討したが、目的物を得るには至らなかった。これは、12位ケトンの低い反応性のためと考えられたため、13位にホルミル基を持つフシコクシン誘導体を設計した。現在この化合物の有機合成を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロスタグランジン系化合物ライブラリのスクリーニングで見出されたヒット化合物は、純品を用いた詳細な検討の結果、疑似陽性と判断され、良質なリード化合物を見出すには至らなかったが、本研究で確立したdxs酵素に対するHTSスクリーニング法は比メバロン酸経路標的型抗菌剤の開発研究に役立つと考えられる。本法により、ヒドロキサム酸誘導体などの、構造や化学的性質が大きく異なる化合物ライブラリを検討してゆきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度はイソプレノイド代謝産物をモチーフとした薬剤設計に関する研究に注力する。半合成的化学修飾により、フシコクシン12位水酸基にホルミル基を導入した誘導体を設計し、有機合成する。一方、C末にアミノオキシ基を含有するペプチドを固相合成し、両者のライゲーション反応に、14-3-3たんぱく質の鋳型効果が観測されるかHPLCで検証する。また蛍光偏光滴定により、縮合産物の14-3-3に対する結合親和性を評価し、最終的に細胞内ライゲーションと生物活性評価を行い、in situフラグメント縮合によるたんぱく質間相互作用阻害剤の新規創出法としての妥当性を評価する。
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Research Products
(2 results)