2014 Fiscal Year Annual Research Report
河川水生昆虫カワゲラの環境適応と遺伝的分化:ゲノムとタンパク質の進化
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13F03366
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 幸三 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (80634435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GAMBOA Maribet 愛媛大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 河川 / 適応進化 / 気候変動 / オミックス / ゲノム / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の気候勾配に沿った札幌,仙台,岐阜,松山の4地域で採取したカワゲラ標本を使って,ゲノム,タンパク質,RNAの各レベルにおける進化パターンを探る分子生物学的解析を実施した.まず,ゲノムレベルの解析では,次世代DNAシークエンサーを使ったRADシークエンシングにより,26.5Gbにも及ぶ96個体分のゲノムワイドのDNA塩基配列情報を収集できた。タンパク質レベルの解析では,2次元電気泳動によるタンパク分画解析から,気温の季節間変動が大きな札幌と岐阜では,他地域よりも多様なタンパク質を発現していることが分かった.さらに,各地域に固有に発現していた計21種類のタンパク質を選択して,更に高度なアミノ酸配列情報等を取得するMALDI-TOF/TOFを行い,すべての実験が完了した.また,RNAレベルの解析では,ゲノムワイドのmRNAの発現解析(トランスクリプトーム解析)を次世代DNAシークエンサーを使って行い,12 GBに及ぶ46個体分のmRNA配列情報を取得した.このmRNAの配列情報に基づく簡易な遺伝子検索により,411個の遺伝子領域がアノテーションされ,そのうち131個はもっとも寒冷な札幌で特異的に検出されていることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,ゲノム,タンパク,RNAの3つのレベルにおけるカワゲラの適応的進化を調べるための分子生物学的解析を完了することができたので,順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はデータ解析と論文執筆を中心に進めて,研究成果をまとめる作業に力点を入れる予定である.
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Research Products
(11 results)