2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規に樹立した長寿命ショウジョウバエを用いた個体老化機構の解明
Project/Area Number |
13F03382
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
相垣 敏郎 首都大学東京, 理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRINDADE Lucas 首都大学東京, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ショウジョウバエ / 寿命の進化 / 長寿命系統 / 貧栄養培地 / メタボローム / 遺伝子発現 / エピジェネティクス / 生殖力 |
Research Abstract |
生物の寿命は種によって大きく異なることから、生活史と密接な関連にあるものと考えられる。しかし、寿命の進化に関わる要素については推測の域をでない。酵母からほ乳類にいたる多様な生物種で共通していることは、カロリー制限によって寿命の延伸が起こることである。申請者らは、食物の供給が十分でない場合には、生殖活動を抑制し長寿化するエイジングパターンが選択される機構があり、この形質こそが、寿命の進化機構の基盤になっている可能性が高いと考えた。本研究は、ショゥジョウバエを用いて、人為的に低栄養条件下で継代飼育を行った場合に、寿命に変化がおこるかどうかを検証することを目的とした。 長寿ショウジョウバエの作製は予備的に成功している。再現性を確かめるために、標準的な野生型系統を複数の独立に、低栄養培地での長期継代飼育を行った。同一の培地で5~6日間産卵させ、成虫が羽化してきたら3~4日後に新しい低栄養培地に移した。10世代まで集団を継代した。これらの寿命を調べるために、一部を通常培地に戻して、2世代維持し、寿命の測定に必要な100個体を確保した。寿命の測定は通常培地および低栄養培地で行った。なお、通常培地で継代したものをコントロールとして用いた。その結果、低栄養培地で継代した集団の方が、通常培地で継代され集団よりも有意に長寿命であった。その傾向は雌で特に顕著であった。一方、低栄養培地において寿命を測定した場合には、二つの集団の平均寿命に有意な差は認められなかった。また卵から成虫が羽化するまでの発生時間を測定したところ、低栄養継代ショウジョウバエ群はコントロール群に比べて有意に遅いことがわかった。これらの形質の変化は、寿命の進化に関する仮説によく合致することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長寿命系統樹立のプロトコルを確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
長寿ショウジョウバエの寿命以外の表現型解析を行う。具体的には、代謝率(酸素消費速度)、生殖能力(産卵数)、成虫までの生存率、睡眠、自発行動などの評価を行う。また長寿の分子生理学的基盤を解明するために、メタボローム解析と遺伝子発現解析を進める。
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Research Products
(1 results)