2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03401
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 猛夫 京都大学, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHOSH Harisadhan 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 配糖体 / 全合成 / 位置選択性 |
Research Abstract |
糖類は感染過程や癌の転位などの細胞間相互作用や細胞の分化など生命維持の根幹に関わっている。このような生物学的現象の探求やそれに基づく医薬品開発には、多糖類や配糖体などの糖関連物質の精密合成が必須で既に膨大な合成研究があるが、対応するペプチド合成に比べて格段に複雑である。これは糖類が複数の水酸基を持つため、それらを区別して結合形成を行う困難さに起因している。この問題点はこれまで複数の水酸基を保護-脱保護により区別する多段階合成法により克服されてきた。一方、申請者は近年、このような多段階の保護-脱保護操作によらない一段階の触媒的位置選択的官能基化を基盤とした糖関連物質の精密有機合成法の開発に取り組み、触媒的位置選択的アシル化法を見いだした。本研究ではこの触媒的位置選択的アシル化を鍵工程とし、保護基の使用を最小限に抑えた配糖体天然物の位置選択的全合成に取り組む。本研究で標的としている配糖体のEllagitannin類は1900年代初頭より知られている配糖体天然物であるが、近年その抗C型肝炎ウイルス活性等が報告され、近年再注目されている。これら配糖体の糖部分の合成は多段階の保護-脱保護法を経て行うのが常である。本研究では糖部分の保護基は用いず、全行程を通じて保護基を最小限にして合成すため、既存法に比べて圧倒的に全合成のステップが短い。本研究期間中には無保護D-グルコースからの6段階で配糖体天然物tellimagrangin IIの全合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間中には無保護D-グルコースからの6段階で配糖体天然物tellimagrangin IIの全合成を達成した。この前段階として、無保護D-グルコースのアノマー位選択的、かつβ一選択的なガロイル基の導入法を確立した。本全合成では、グルコース部分の保護基を全く使用しない合成ルートの開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに無保護D-グルコースからの短段階での配糖体天然物の全合成ルートを見いだしたが、個々の段階での選択性や収率は改良の余地を多く残している。この点を改良し、無保護グルコースからの短段階配糖体天然物の全合成法として確立したい。
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