2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒゲクジラ類の進化における多様化と懸隔化の速度と様式
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13F03503
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
甲能 直樹 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (20250136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MARX Felix G. 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | baleen whale / Mysticeti / evolution / Japanese fossil / phylogenetics / total evidence / morphology / collagen |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒゲクジラ類の系統進化過程における多様化の速度と様式を明らかにするため,これまでに記載のなされた現生種と化石種90種について,273の形態形質と共に37,646の塩基配列データを用いて,コンピューターソフトウェアTNTとMrBayesを用いて最節約法とベイズ法により分岐パターンの解析を行なった結果を公表した(Marx and Fordyce, 2015).この研究の結果,ヒゲクジラ類はおよそ3800万年前頃に分化したことが推定され,さらに3600-3000万年前に初期の多様化が起こり,3000-2300万年前ごろに濾し取り型の食性を進化させたことが推定された.また,1000万年前以降に体躯の懸隔化と巨大化が顕著となり,300万年前以降になると古環境変動に伴う形態進化は認められなくなることも明らかとなった. 日本産ヒゲクジラ類化石に関しては,沖縄県宮古島市総合博物館所蔵の鬚鯨類の頭蓋化石の記載と予備的な系統解析を行ない,これがナガスクジラ類の絶滅種であることを明らかにした(木村,Marx,甲能ほか3名,2015).また,蒲郡市生命の海科学館が所蔵するペルーの中新統産ヒゲクジラ類全身骨格化石について記載報告の許可を得て,予備的な記載と計測を行なった結果,これもナガスクジラ類の絶滅種であることが明らかとなり,現在記載論文を準備中である.これらの研究と並行して,化石コラーゲンを用いた近縁関係推定法により,現生種1属1種と化石種1属1種のコラーゲン分析を行なった.なお,これらの成果については,2014年6月に米国バージニア州で開催された2年ごとの国際会議 「7th Secondary Adaptation of Tetrapods to Life in Water」において講演すると共に,2015年1月に豊橋市自然史博物館で開催された日本古生物学会第164回例会でも講演を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究は,ヒゲクジラ類の進化過程における多様化と懸隔化の速度と様式を明らかにする上で日本産の化石を詳しく検討することが重要であることを指摘し,そうした標本の記載を進めつつ一部の標本についてはすでに論文を出版している.また,それらに加えて他の国内外の標本についても記載の上で系統解析に加えて検討を始めているので,研究計画としておおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
一連の研究において,日本の博物館等の研究機関には多くの未記載のヒゲクジラ類化石が所蔵されていることを把握したので,これらについて現在可能な限りの標本の記載を進めている.ヒゲクジラ類の進化過程における多様化と懸隔化の速度と様式を明らかにする上では,化石記録が時空軸に豊富に扱えることが前提となるので,今後少なくとも日本産の化石種については記載を終えたものから順に系統上の位置づけを明らかにしていくと共に,その生息年代についても適切な方法で精度の高い推定値を得て,コンピュータソフトを用いた各系統群の分岐年代の推定と誤差を含む分岐時の古環境変動あるいは他の生物イベントとの関係性を明らかにして,多様化のパターンとプロセス,その過程における各系統群の懸隔化の速度と様式を明らかにしたい.研究を完了するにあたっては,昨年度に出版した系統解析結果に基づいて,コラーゲン分析から推定された類縁関係による系統仮説の補強,沖縄などの西日本地域のヒゲクジラ類化石の継続的調査,時間軸的に見て化石記録が大幅に欠落している前期中新世のヒゲクジラ類の探索を引き続き進めていく予定である.
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Research Products
(4 results)