2013 Fiscal Year Annual Research Report
テンソル模型による量子重力へのアプローチ及び強く関連する課題の研究
Project/Area Number |
13F03714
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹倉 直樹 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAFFAELLI Bernard 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子重力 / テンソル模型 |
Research Abstract |
ミクロな物理を記述する量子力学と宇宙論的なマクロな物理を記述する一般相対論を融合する量子重力理論の構築は、理論物理における長年の夢である。量子重力理論は、宇宙の始まりやブラックホールなど、宇宙に現実に存在する極限的状況を理論的に解明し、より深遠な新たな自然観を提示すると考えられている。また、なぜ時空間が時間1次元+空間3次元なのか、なぜ宇宙の暗黒エネルギーが観測されているような非常な小さな値で存在するのか、物質がどうして生じたのかなど、既存の物理理論の枠組みでは捉える事の難しいより根本的な疑問に対しても、量子重力理論はなんらかの道筋を与えると期待されている。量子重力理論の枠組みについて長年にわたり様々な提案がなされてきたが、現在までのところ、十分に説得力を持つものが現れるまでには至っていない。そのような量子重力の模型として、受入教員はハミルトン形式によるテンソル模型を提案したが、我々はその模型の研究を中心テーマにして研究を行った。具体的テーマとしては、ハミルトン形式によるテンソル模型のダイナミクスの研究として、一般相対論との関係、振動子表示に基づく宇宙の波動関数(Wheeler-DeWitt波導関数)、テンソル模型のダイナミクスにうまく対応する物性的統計系の研究などを行った。また、ループ量子重力との関連で盛んに議論されている群論的場の理論とテンソル模型の間の関係を追求する研究として、ハミルトン形式のテンソル模型の配位空間の中で、リー群的対称性を保つ部分空間上のテンソル模型の研究も行った。様々な萌芽的な進展があったものの、Raffaelli氏は中途で帰国する事になったため、それぞれの萌芽的進展を完成させるところまでには、残念ながら至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Raffaelli氏が中途で帰国することになり、具体的成果をあげるところまで達しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Raffaelli氏の帰国と同時に研究計画が中途で終了したため、今後の方策等はない。
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