2013 Fiscal Year Annual Research Report
地殻内における物質移動と熱源‐副成分鉱物と微量元素からの洞察
Project/Area Number |
13F03715
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平島 崇男 京都大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SKRZYPEK Etienne 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 変成作用 / 熱 / 造山運動 / 年代学 / モナズ石 / 褐簾石 / 領家帯 / バリスカン造山帯 |
Research Abstract |
本研究は造山帯における変形・変成・火成活動の関係を明らかにし、造山帯の進化を理解する, ことを目的とする。高温低圧型変成帯である領家変成帯と中圧型変成帯であるバリスカン造山帯を主たる対象とし、造山作用の熱源を明らかにすることを特に重視している。本年度は、領家変成帯の柳井、三河、笠置地域の地質調査及びサンプリング、薄片作成(以上全地球)、SEM-EDSやWDSによる観察・分析(柳井地域)を行った。地質調査は特に、(i)変成岩の変形構造、(ii)変成岩と花崗岩類の貫入関係の精査、に重きを置いた。柳井地域の低度変成岩(黒雲母帯)から高度変成岩(ザクロ石-菫青石帯)にかけて、モナズ石の産状を記載し、低度変成岩中では、褐簾石が分解してモナズ石を生じている鉱物微細組織を見いだした。これはバリスカン造山帯など中圧型変成帯で見られる現象と類似している。これらの組織を含む岩石をCHIME年代測定するため、記載作業と試料選定を行い、成果を国内の学会で発表した。また、領家変成帯の年代学、岩石学に関する過去の文献調査を行い、柳井地域については花崗岩の年代学的情報が不足していることを確認した。 また、領家変成帯から得られた結果の比較対象とすることを目的として、フランスやチェコ共和国から得られたバリスカン造山帯の岩石試料の研究も行った。バリスカジ造山帯から得た試料中のモナズ石年代測定を、LA-ICP-MSによる同位体年代測定法とEPMAによるCHIME年代測定法で行った結果を比較し、モナズ石の成長時期について明らかにした。また、バリスカン造山帯の造山運動史や熱源についての考察を行い、国際誌論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた領家変成帯の各地域、すなわち柳井・三河・笠置地域の野外調査を実施し、年代測定に必要な岩石試料の採取と薄片化、SEM-EDSやWDSを用いた観察・記載、必要な情報収集が終了しており、年代測定のマシンタイムを待っている状態である。マシンタイムを待つ間は、バリスカン造山帯の試料を用い、モナズ石年代の持つ意味についての研究を進め、領家変成帯からの結果に応用可能な考察を深めていることができているため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
柳井地域においては変成岩だけでなく花崗岩の年代測定も必要となったことから、花崗岩・変成岩からのジルコン分離及びLA-ICP-MSを用いたジルコンU-Pb年代測定を極地研究所および京都大学で実施する。作業量の増大を考慮し、調査地域をこれ以上は増加させないようにする。低変成度におけるモナズ石の形成温度見積もりのため、ラマン分光光度計を用いた石墨温度計を活用する。モナズ石のCHIME年代測定は名古屋大学年代測定センターで行う。
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Research Products
(5 results)