2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03733
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 雅彦 京都大学, 文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MICHAEL Campbell 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 和辻 / マクダウェル / 自然主義 / 道徳性 / 間柄 / カント / 人間本性 / 応用倫理学 |
Research Abstract |
「自然的なもの」に関するわれわれの概念を検討し、自然と人間の関係についてのわれわれの理解がどのような形でわれわれの倫理観に影響を与えているのかを明らかにすることが本研究の目的である。その目的を果たすプロジェクトの一環として今年度は、和辻哲郎の道徳哲学と西洋の道徳哲学を比較する論文の執筆や発表をいくつか行った。発表「Aidagara and Second Nature : Two Sides of the Same Coin?」では、和辻の「間柄」概念とマクダウェルの「第二の自然」概念を比較した。論文「Not lost in loss itself」では、和辻によって描かれた倫理学像と「善人は害されえない」というソクラテス的なテーゼとを比較した。 これに加えて、応用哲学についての論文をいくつか執筆した。論文「Global Greed and Prudence : Replyto Alvarez」や「Promoting Public Health Research in BRICS through a Multinational Public Health Fund」では公衆衛生の資源は自己利益の観点から配分されるべきでなく道徳原則にしたがって配分されるべきであると論じた。最近の発表である、「To Chance or To Enhance?」では、和辻の著作を人間のエンハンスメント倫理の近年の諸問題に応用することで、2つの関心を結びつけた。 理論的な研究と応用的疫研究を結びつけることを通して、和辻が人間についてや、人間と自然的世界の関係について独特で重要な考えを持っていることを示すことができた。 また研究計画にあったようなネットワークづくりに関しても、国際ワークショップ等への参加や運営を通じて、国内外の研究員との結びつきを持つことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際ワークショップ等、非常に良い発表の機会にも恵まれ、自分の研究をよりいっそう進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で得られた知見を踏まえつつ、和辻哲郎の自然概念を中心に日本および東洋における自然概念の検討を行う。そのために必要な関連文献を入手し精読する。また、関西圏および関東圏を中心に関連する研究分野の研究者とのネットワーク作りも引き続き行い、学会や研究会などの場での意見交換を行い、必要に応じて専門知識の提供を依頼する。これらの研究の成果を発表するために、国外で行われる国際学会での報告を行い、論文を投稿する。
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