2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03744
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹本 佳司 京都大学, 薬学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MARCH Taryn Lee 京都大学, 薬学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機触媒 / アルドール反応 / 脱炭酸 / チオ尿素 / ベンゾチアジアジン / 水素結合 |
Research Abstract |
β―ヒドロキシカルボニル化合物はカルボニル化合物のβ位に水酸基を有する化合物群であり、様々な天然物や医薬品の合成中間体である。そのため、本化合物群の立体選択的な合成は重要な研究課題であり、数多くの研究者によってその合成法の開発がおこなわれている。しかし、これまでに報告されている強塩基を用いるアルデヒドとケトンとの反応条件では逆反応などの解決すべき問題点がある。今回我々はこれらの問題点を克服すべく、温和な条件で反応を行うことを計画し研究に着手した。本目的を達成するために、我々はβ―ケト酸と種々のアルデヒドとの脱炭酸型アルドール反応に注目した。本反応は温和な条件化で脱炭酸を伴う炭素一炭素結合形成反応が行えるだけでなく、我々の研究室で独自に開発された多機能性チオ尿素触媒を利用できると考えた。 まず、初期検討として容易に入手可能であるβ―ケト酸と芳香族アルデヒドを用い、種々の骨格(チオ尿素、キナゾリン、ベンゾチアジアジン、スクアルアミド、ベンズイミダゾールなど)を有する多機能性有機分子触媒存在下にて反応の検討を行った。その結果、反応の従来の多機能性チオ尿素触媒よりも水素結合供与能の高い多機能性ベンゾチアジアジン触媒を用いた場合に反応の加速効果が見られ、エナンチオ選択性も向上することを見出した。さらに、触媒のアミン部位の塩基性をチューニングすることにより、エナンチオ過剰率は60%程度まで向上することがわかった。また、得られる生成物の絶対立体配置はその比旋光度を文献値と比較することにより(R)体であると決定した。今後、本結果を元に反応の遷移状態の探索を行い、得られた知見を触媒設計にフィードバックさせることでさらに有効な触媒の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
β-ケト酸と芳香族アルデヒドとの反応について、良好な収率およびまずまずのエナンチオ選択性を与える触媒の骨格を明らかにすることができた。また、アミン部位の異なる数種類触媒の合成を完了し、それらを用いることによりエナンチオ選択性が改善することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アミン部位の異なる触媒の設計・合成を引き続き行う。また、昨年度得られた結果を元に反応の遷移状態の探索を行う。得られた知見を触媒設計にフィードバックさせることでさらに有効な触媒の開発を目指す。さらに、様々な基質を用いて反応の一般性を検証する。
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Research Products
(2 results)